<阪神4-1DeNA>◇18日◇甲子園

 パ・リーグのみなさん、猛虎打線にお気をつけて!

 5月に入って低調だった阪神鳥谷敬内野手(32)が、復調兆しの決勝2号ソロだ。19試合ぶりのキャプテン弾で、チームは交流戦前ラストゲームで快勝。やっぱり虎の白星街道に、この男は欠かせない。5月初連勝で、5カードぶり勝ち越し。さあ、明日20日からはセパ交流戦だ。

 鳥谷の打球は左翼へ上がった。同点の6回1死、バックスクリーン上の旗は大きく左へたなびいていた。5月の晴天、甲子園特有の浜風の後押しも受けて白球は、左翼ポール際の最前列に飛び込んだ。19試合ぶりの2号ソロ。交流戦前、最後の試合をキャプテンが一振りで決めた。

 鳥谷

 風のおかげです。逆方向を意識していたわけじゃない。たまたまです。塁に出ることしか考えていなかった。

 浜風に手柄を譲って、手放しで喜ぶことはなかった。ただ、その裏にはホーム球場への確かな知識と、高い技術の裏打ちがある。

 和田監督

 浜風を利用して、技ありの1発かな。デーゲームは特に浜風が強いので、今の時期は。それを意識して打者は風を使ってね。なかなか、そうは言っても、ああいう打ち方はできないんだけど。

 この時期、甲子園左翼への打球はよく伸びる。だが、少しでもバットの角度が浅ければ、打球は力なく左方向へと切れてしまう。浜風に乗りながらも、負けなかった打球。外角球をしっかりとたたく高度な技術が生んだ決勝弾だった。

 5月の月間打率は、この日を終えて1割6分7厘。3割6分4厘と打ちまくった3、4月の好調は影を潜めていた。主将のバットに歩調を合わせるように、チームも5月に入って苦戦を強いられた。チームの5月初連勝、5カードぶり勝ち越しを呼んだ1発は、調子が上向く大きなきっかけになり得る。4月終了時に両リーグトップの171得点を誇り、85年猛虎打線の再来を思わせた勢いを取り戻すには、何より鳥谷の爆発が不可欠だ。

 鳥谷

 (本塁打は)たまたまです。

 最後にもう1度、鳥谷は同じフレーズを繰り返した。試合後はヒーローを新井良に譲り、まったく表情を変えることもなかった。マルチ安打は15試合ない。完全復調にはほど遠いだろう。だからこそ、表情は厳しかったのかも知れない。交流戦でも、前半戦でもない。一喜一憂しない鳥谷の視線は、長い、長い戦いの行方を見据えているようだった。【鈴木忠平】