<西武12-8ヤクルト>◇24日◇西武ドーム

 西武の「アブさん」が交流戦初勝利を呼び込んだ。22日に育成選手から支配下登録されたばかりのアブナー・アブレイユ外野手(24)が、4安打3打点と活躍。先発起用2戦目で初安打、初打点、初盗塁を記録した。今月加入したメヒアも4安打、さらに中村が先制3ラン、浅村にも3ランが飛び出すなど、チーム16安打12得点の猛打で、ヤクルトとの乱打戦を制した。

 酒嫌いの「アブさん」が“あぶさん”ばりの固め打ちだ。1回の第1打席で初安打となる左前打で初打点を挙げると、初盗塁も決め、続く炭谷の適時打で得点。3回にも適時打を放ち、4回には三塁打。6回には再び左前にはじき返し、ダメ押しの11点目をチームにもたらした。本家?

 「あぶさん」は4打席連続本塁打を3度決めているが、負けず劣らずの先発出場2戦目で4打席連続安打。お立ち台では「とても不思議な感じ。インタビューを受けるほど活躍できるとは思ってなかったよ」と照れた。

 12年オフに西武と育成契約を結んだ。目標は1軍入り。「練習がすごく厳しくてモチベーションを保つのが大変だった」と振り返ったが、2軍で黙々と練習に打ち込んだ。日本での生活には慣れてきても、「ノー、スシ」と生魚は苦手。そして「あぶさん」は大の酒豪だが、「お酒は好きじゃないです」と告白した。

 それでも漫画とはいえ「あぶさん」が62歳まで現役だったと聞くと、「ワーオ」と驚きながらも表情を引き締めた。「ここでの環境、周りも好きな人ばかり。もっともっと長くプレーしたい」と目を輝かせた。

 この日の4安打中、3本が初球。異国での成功を目指すハングリーさが、そのまま積極性に表れた。大活躍だった1日。さすがにこの日ばかりは一杯飲むかと思いきや、「明日から遠征だから、ビールもやめておくよ」ときっぱり言った。

 アンダーシャツに記された番号は育成時代の「125」のまま。真面目でひた向きな「アブさん」の可能性が、チーム浮上の大きな原動力になるかもしれない。【佐竹実】

 ◆あぶさん

 「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載された水島新司作のプロ野球漫画。連載開始は73年。41年間で976話を数え14年2月に終了。南海、ダイエー、ソフトバンクと、ホークスを舞台にパ・リーグ中心に描かれている。主人公のあぶさんこと景浦安武選手は46年12月生まれ、背番号90の外野手。物干しさおのような長尺バットを使いこなし、3冠王3回やシーズン打率4割超えを達成した強打者。酒豪で、打席に入る前、酒をバットに吹き付ける「酒しぶき」がトレードマークだった。<アブナー・アブレイユ

 アラカルト>

 ◆生まれ

 1989年10月24日、ドミニカ共和国出身。

 ◆球歴

 セントラル・デ・エステ大から07年インディアンスに入団。カブス、ブレーブスにも在籍。メジャー経験なし。マイナーでは通算411試合に出場し、打率2割6分4厘、39本塁打、211打点。12年オフに西武と育成選手契約。

 ◆背番号と年俸

 背番号は「125」から「72」に変更され、年俸は推定1100万円に。

 ◆サイズ

 190センチ、85キロ。右投げ右打ち。

 ◆家族

 日本で夫人と2人暮らし。愛妻家。

 ◆通勤

 西武ドームへは西武線を使って通う。

 ◆愛称「アブさん」

 支配下登録を受けての会見で「アブさんと呼んで下さい」と自らアピール。

 ◆好きな食べ物

 しょうゆラーメン。

 ◆漫画「あぶさん」

 漫画のキャラクターとして「存在は知ってますが、詳しくは分からないです」。