<ソフトバンク3-4阪神>◇24日◇ヤフオクドーム

 ホッとした表情でハイタッチの列に加わった。阪神能見篤史投手(34)が自己最多タイの13奪三振で自身の3連敗をストップ。4月25日DeNA戦(横浜)以来、約1カ月ぶりとなる5勝目をつかんだ。

 苦しんで、苦しんだ結果の13Kだった。「ストライクゾーンが狭くて、厳しかった」。下位まで1発のあるホークス打線。神経をすり減らした。「三振しかアウトを取れなかったから苦しかった」。6回で自己最多タイをたたき出した数字には苦しみがつまっていた。

 ピークは3回だ。1死満塁。打席には前夜逆転3ランの4番李大浩を迎えた。初球は内角への直球がボール。2球目も内角へ125キロの落ちる変化球を投じた。ここまでは空振りが取れた球だったが、大砲のバットは動かない。3、4球目もボールとなり、ストレートの押し出しで1点を献上。マウンドに集まるナインを前に、スパイクで4度地面を蹴った。

 スイッチが切り替わった。大胆に攻める-。続く松田には遊撃強襲の内野安打を浴び逆転を許したが、そこから傷を広げなかった。1死満塁。6番柳田、7番李杜軒を低めの変化球で連続三振を奪い切り抜けた。「(ボールが)見えたら振ってくる感じだったから、裏をかくこともなく勝負した」。スライダー、フォークを低めに操り、崩れそうなところでギリギリ踏ん張った。直後の4回には味方打線が3点を奪い、再逆転。意地のつまった6回112球だった。

 和田監督もエースの粘りを評価した。「きのう、きょうと内野陣が足を引っ張った部分があるんだけど、悪いなりに抑えてくれた」。ソフトバンクには10戦目でうれしい初白星。苦しみ、耐えた先に全球団勝利のご褒美があった。【松本航】

 ▼阪神能見が2試合連続、通算15度目の2桁奪三振をマークした。13奪三振は自己最多で、11年8月9日中日戦(ナゴヤドーム)以来、2度目。前回は8回で記録したが、今回は6回で毎回の13三振だった。また通算奪三振数が926となり球団の歴代10位に入った。