<巨人0-4楽天>◇28日◇東京ドーム

 監督にささげる好投だ!

 楽天則本昂大投手(23)が巨人打線を3安打無失点に抑え、自身初となる2試合連続完封勝利を挙げた。26日に星野仙一監督(67)が腰痛で休養に入って以降、最初の白星をもたらした。その監督が現役時代から「宿敵」と呼ぶ巨人を相手に、気迫あふれる投球。負ければ2ケタ借金10の苦境で、チームを勇気づけた。

 純な思いを電波に乗せた。敵地でのヒーローインタビュー。テレビ観戦しているであろう星野監督へのメッセージを求められ、則本はカメラを向いた。

 則本

 星野監督、やりました。これからチームは、もっともっと勝ちます。早く戻って来てください。

 初回から「いつも以上に腕が振れ、体も動いていた」と全力全開だった。3回2死。中井を4球で追い込む。「指にかかっていた」と、ホップするような球筋で空を切らせた。プロ入り後の自己最速タイ153キロを記録。グラブを激しくたたいた。6回2死で、その中井に打たれるまで無安打を継続。9回1死二塁、初めて得点圏に走者を許すも、あっさり後続を断った。

 不在の指揮官の思いも背負った。試合前のミーティングを終えると、全員集合がかかった。宿舎の大広間。立花社長が言った。「星野監督は巨人戦の指揮を執りたがっていた。監督に恥ずかしくないプレーをしよう」。則本の気は高ぶった。「監督の宿敵、巨人を倒したかった」。だからリミッターを外し、直球でガンガン攻めた。「一生懸命、魂を込めて投げた結果」の6勝目だ。

 星野監督には、甘い言葉をかけられた覚えがほとんどない。1年目で15勝を挙げた昨季も「なかなか褒めてもらえなかった」。今季も、まだエースとは呼んでもらえない。だが、厳しくされるからこそ燃える。「褒めてもらえるように」と奮起する。神宮外苑での前日練習。早期回復を願って、森山投手コーチらと一緒に四つ葉のクローバーを探した。「良い方向にいったらいいのですが…」。監督へ、幸運を届けたかった。

 初めての2試合連続完封勝利。「星野監督に褒めてもらえると思うか」と聞かれ、「ヒットを打たれたところは怒られます」とほほ笑んだ。満足はしない。もっと、喜んでもらえる投球を目指す。【古川真弥】

 ▼則本が22日DeNA戦に次いで2試合連続完封勝利。交流戦でシーズン2完封は12年石井一(西武)以来7人目になるが、2試合連続完封は11年ダルビッシュ(日本ハム=3連続)に次いで2人目。交流戦で巨人を完封した投手は06年斉藤和(ソフトバンク)08年岩隈(楽天)に次いで3人目だが、初登板では則本が初。巨人戦初登板完封は2リーグ制後、09年ランドルフ(横浜)以来5年ぶり9人目。