<ソフトバンク8-3巨人>◇3日◇ヤフオクドーム

 広いヤフオクドームで、巨人フレデリク・セペダ外野手(34)の穴が露呈された。1点を勝ち越された6回1死満塁。代打明石の左翼線への飛球を懸命に追う。だがスピードがない。グラブを差し出したが、打球をはじき走者2人が生還した。「いけると思ったが、無理だった。少し追いつけなかった」と静かに話した。

 原辰徳監督(55)は三塁側ベンチからは死角で見えなかったと前置きし「全力の中でのプレー。今日は捕れなかったということ」と話した。再び1死一塁では左前打に三進を阻止しようと必死に送球したが、打った中村は、すかさず二塁を陥れた。記録上の失策はなく、緩慢なプレーではない。だが、相手の勢いを増長させる守備で6失点につながった。

 守備力は高くない。近年のキューバ・リーグはDHが定位置。来日時に「代表で17年間、守ってきた。心配ない」と言った。三塁けん制時のベースカバーの動きも欠かさない。真面目な姿勢はあるが長いシーズンを戦う上では心もとない。

 だからこそ、打撃で真価を発揮する必要がある。初回に先制の適時二塁打を放った。しかし3回無死一塁では7球連続ボールと不安定なスタンリッジに3ボールから外角直球に手を出し、二ゴロに終わった。出場15試合で11打点。144試合換算なら105打点ペースだが、打率1割7分4厘は4番として打線に影響を与える数字だ。

 試合前は尊敬するソフトバンク王会長と再会した。「頑張って下さい、と言われた。素晴らしい人。言葉をいただき、勇気づけられた」。完全な勇姿は見せられなかった。来日即1軍で疲労もたまる時期だが、日本野球への順応が求められる。【広重竜太郎】