<巨人10-5ソフトバンク>◇22日◇東京ドーム

 ソフトバンクが豪快に散った。交流戦史上初となる最終戦での「優勝決定戦」で巨人に敗れ、2位。5月に支配下登録された2年目飯田優也投手(23)が大舞台にのまれ、2回途中6失点でKO。チーム打率3割を超える好調打線の反撃は及ばなかった。次戦は27日から西武戦(西武ドーム)。首位オリックスを0・5ゲーム差で追うリーグ戦制覇へ切り替える。

 色白の端正なマスクが青ざめた。肩を落としてベンチに戻った飯田は耳の奥でこだまする敵地の歓声をきっと忘れないだろう。2回途中6失点でKOで2敗目。「自分のボールを操れなかった。考えないようにしたのですが、未熟でした」と小さく声をしぼった。

 5月に支配下登録されたプロ2年生。最終戦で実現した史上初となる巨人との優勝決定戦が先発2試合目。おまけに満員に近い東京ドームという緊張感マックスの舞台装置にのまれた。

 1回を連打でスタート。郭泰源投手コーチがいきなりマウンドにやってきた直後に四球で無死満塁とし、村田の内野ゴロ、細川の二塁悪送球で2失点。2回は際どいコースを見極められた2四球から崩れた。「野手の皆さんに本当に申し訳ない」。先発投手の役割を果たせず、仲間に頭を下げた。

 交流戦連覇を逃したが、チームは未来に向けて大きな投資をした。育成から昇格して1カ月と少しの23歳左腕を他の投手を差し置き、2度先発させた。失点したが、村田、阿部、アンダーソンは打ち取った。重圧の大きかったこの巨人戦の経験は飯田だけのものだ。

 秋山監督は「よーいドンだな」のひと言で片付けたが、郭コーチは「これも経験ですから」とし、加藤投手コーチも「四球も上ずった四球ではない。投げた経験を生かしてほしい」と語った。出場選手登録を1度外れるのは失格の烙印(らくいん)ではない。ローテーション候補として再調整を求められた。「こうした経験をプラスに、糧にしないと意味がない」。ドームを去る飯田の声にはもう張りがあった。【押谷謙爾】