若鯉の逆襲が始まる!

 広島ドラフト1位の大瀬良大地投手(23)が前回先発した1日巨人戦(マツダスタジアム)で新球スライダーを解禁していたことが3日、分かった。交流戦から不振に苦しむが、エース前田から教わったというスライダーを新兵器に巻き返しを図る。また右肩痛でリハビリ中の一岡竜司投手(23)も、順調に行けば来週中に1軍復帰できる見込み。巻き返しの夏が楽しみだ。

 巨人阿部がバットを止め、目を丸くした。長野が豪快に空振りした。実験は成功に終わった。大瀬良は6回10安打5失点と打ち込まれた1日巨人戦、ひそかに新兵器を手にしていた。右打者の外に、左打者の内に鋭く切れ込む130キロ前半のボール。エース前田直伝の新スライダーだった。

 大瀬良

 もともと持っているスライダーが悪かったので、試してみようと思ったんです。握りも投げ方も全然違うボールです。

 基本の持ち球は直球にチェンジアップ、140キロ前後のカットボール、120キロ前後のスライダー、110キロ前後のカーブ。最近はスライダーの精度が悪く、直球を痛打される場面が目立っていた。そこで引き出しから新球を取り出した。開幕直後に前田から教わった宝刀だ。登板2日前のブルペンで久々に試投し、巨人戦では10球以上投じた。

 大瀬良

 自分のスライダーはどちらかというと指から抜く、ドロンと曲がるタイプ。マエケンさんに教えてもらったのは指で切って横に曲げる感じ。いい感触でした。阿部さんのバットは途中で止まったし、長野さんから空振りも取れた。曲がりが大きすぎると、左打者の体に当たるんじゃないかと思ったぐらいで。

 6回2死満塁では1番坂本への勝負球に選び、三ゴロに打ち取った。球速と曲がりの両面で投球の幅が広がった。交流戦は計5試合で1勝2敗、計21回0/3で25失点と苦しんだ。目の前に立ちはだかる、分厚い「プロの壁」。新しいアイテムを携え、力ずくでぶち壊す。【佐井陽介】