<中日1-8阪神>◇15日◇ナゴヤドーム

 「アベック打」でイヤ~なムードを打ち破った。初回の3得点が一転。立ち直った中日雄太を前にゼロ行進が続いた。それを止めたのは、交流戦明け2度目のスタメンに燃える阪神新井貴浩内野手(37)だ。

 「次の1点というところでね。2アウトからだったので良かった。意識はセンターにありました」

 集中力をとぎすました。6回2死一、二塁。外角に来たチェンジアップをフルスイング。会心の当たりとはいかないが、ハーフライナーはセンター前へ。貴重な追加点をたたき出す一打に、和田監督も「あれが大きいね。代打でもスタメンでも準備してくれている」と勝負強さを絶賛した。

 マウンドでは藤浪が5回まで9奪三振と力投していた。「晋太郎には何回か『新井さん、僕のときによく打ってくれますよね』と言われたよ」。藤浪の登板日と新井貴のスタメンが重なれば、試合前時点で3割5分の高打率を誇っていた。4回の右前打、7回の適時二塁打で猛打賞の大暴れ。好相性を示す打率は、3割5分から4割1分7厘にまで跳ね上がった。

 これに、今度は前日14日に1軍合流したばかりの弟新井良太内野手(30)が乗っかった。新井貴の適時打の直後の6回2死一、三塁。「食らいついていくという感じでした」と兄と同じ外角のチェンジアップを良太は強引に引っ張った。レフト前への適時打でダメ押しの5点目。2人の連続適時打は13年5月26日日本ハム戦(甲子園)以来4度目となった。

 兄弟そろって出番が限られる苦しいシーズン。今季初の連続適時打は和田監督の心も動かした。

 「(良太のライト起用は)そのためにファームに行かせてやらせていた。ドームであったり、条件が備わればこういう布陣もありかな」

 三塁新井貴、右翼良太。指揮官が抱く構想に良太も「ライトはファームでずっと守ってきたので」と自信をみなぎらせた。好調な打線に加わる新たな選択肢。新井兄弟の存在がチームをさらに活性化させる。【松本航】

 ▼新井兄弟のスタメンそろい踏みは6月14日の西武戦以来で、安打そろい踏みは同17日の日本ハム戦以来。連続タイムリーとなると通算4度目。13年4月21日のヤクルト戦(甲子園)6回、5月11日のヤクルト戦(松山)3回、同26日の日本ハム戦(甲子園)1回以来で、今季初。