<ヤクルト2-4広島>◇23日◇神宮

 広島がまたも激戦を制した。1点ビハインドの9回、丸佳浩外野手(25)が起死回生の13号ソロで追いつくと、延長に入った11回表に、会沢翼捕手(26)の右前への適時打で勝ち越した。これで今季の延長戦(9戦)は球団記録となる8連勝(1分け)。接戦に強さを発揮するカープがさらに勢いを増す。

 弾丸ライナーが真っ赤に染まった左翼席最前列に突き刺さる。1点を追う9回。先頭の3番丸が土壇場で試合を振り出しに戻した。フルカウントから守護神バーネットの外角直球を逆らわずに強振。「外寄りのボールに対して素直にバットを出せた」。前日22日の決勝2ランに続く、2試合連発の13号ソロは値千金の1発となった。

 勝利への執念がグラブにほとばしった。何度も窮地に立たされながら、カープナインは美技連発でしのぎ続け、丸の劇的弾を呼んだ。まずはバレンティンの右中間弾で勝ち越しを許した直後の6回1死一、二塁。2番手永川勝が7番中村に右中間への大飛球を浴びる。右翼中東は落下地点まで俊足を飛ばし、フェンスぎりぎりでキャッチに成功。すぐさまカットマンの二塁菊池につなぎ、菊池は一塁への遠投を決めた。一塁走者は戻り切れず封殺。致命的な追加点を防ぎ、反撃ムードをつくり出した。

 まだ好守劇場は終わらない。7回無死、代打森岡の一ゴロがベースに当たって跳ねたが、一塁キラが素手の右手でキャッチ。先頭打者の出塁を許さなかった。8回1死二塁では、5番雄平の左中間への飛球を左翼エルドレッドがダイビングキャッチに成功した。同点に追いついてからも堅守は揺るがない。9回2死、武内の右翼線への飛球を中東が華麗にスライディングキャッチ。すべてのプレーに気持ちがこもっていた。

 広島ナインの気持ちは延長11回に実を結んだ。2死から途中出場の赤松が中安で出塁してチャンスを演出すると、会沢の右前打でついに勝ち越し。この回2得点で突き放した。今季延長戦は9戦負けなしの8連勝(1分け)で球団記録をマークした。粘って粘って、最後は勝利をものにする。強さはホンモノだ。