<ロッテ2-6日本ハム>◇30日◇QVCマリン

 主砲のバットで3連勝をたぐり寄せた。日本ハム中田翔内野手(25)が、1-1の同点で迎えた3回無死一塁で勝ち越しの18号2ランを左翼席に運んだ。ここ5試合で3発目と量産態勢に入った。1回には1死二、三塁で先制適時打を放った。4打数2安打3打点で、リーグトップを独走する67打点をマーク。4番の仕事を果たし、2カード連続の勝ち越しに大きく貢献した。

 自分の結果より、勝利がうれしかった。中田は試合後も、おとこ気をたぎらせた。「ホームランを何本打とうが、試合に勝たなきゃ意味がない。みんなそう思っているし、僕もそう思っている」。4番は打点を挙げ、勝たせることが仕事。最近5試合で3本塁打、11打点をマークした。すべてのアーチが決勝弾。常に重責を自覚する主砲の働きでチームを3連勝、貯金2に導いた。

 頭と体をフル回転させた。初回1死二、三塁で迎えた第1打席。追い込まれると、長打を捨てた。「何とか先制点を取りたくて、足を上げるのをやめた」。ミート重視のすり足打法に切り替え、左前適時打。3回は本能に身を任せた。初球の127キロチェンジアップにロックオン。「反応でしっかり打てた」と完璧な弾道を左翼席へ運んだ。決勝の18号2ラン。課せられた使命を果たした。

 因縁の地で、やり返した。この日と同じQVCマリンでの6日ロッテ戦。左膝に死球を受けた。鍛え上げた筋肉に覆われていない、関節部分に直撃した。骨折よりも完治が遅い場合もある、骨の打撲である骨挫傷。直後の患部は、チームメートが驚くほどの腫れだったという。内出血がひどく、試合前にたまった血を抜いたこともあった。走ることも、ままならない状態。前半戦最後の西武2連戦はスタメンから外れたが、絶対に自分から欠場という答えは出さなかった。

 信念があった。「ケガして(チームを)離れることは、しょうもないこと」。昨季はシーズン終盤に差しかかる8月に、同じく死球で左手第5中手骨を亀裂骨折。大事な時期に離脱した同じ失敗は繰り返したくなかった。強い気持ちで8日楽天戦以降の16試合で打率2割9分3厘。前日29日に左翼へも復帰するなど、ようやく患部は回復傾向。テレビ解説のため来場していた侍ジャパンの小久保監督にも、既に選出されている11月の日米野球に向けて復調を印象づけた。

 明日8月1日からは首位ソフトバンク、2位オリックスとの直接対決も始まる。上位追走へ「勝ち負けに、こだわってやっていきたい」。頼もしい4番が、大逆転Vへチームを引っぱっていく。【木下大輔】