<楽天1-4西武>◇2日◇コボスタ宮城

 簡単に定位置を明け渡すつもりはない。西武炭谷銀仁朗捕手(27)がドラフト1位ルーキー森に負けじと存在感を発揮した。2回1死、エンドランのサインに応え、左翼線への先制適時二塁打。昨季は10打数無安打に抑えられていた楽天則本から価値ある一打を放った。守備でも先発レイノルズを好リードし、来日2勝目へ導いた。「森どうこうというよりも昨日、負けているので、チームとして今日、明日は取らないとという気持ちだけです」と勝利だけに集中した。

 森と同じ高卒1年目だった06年は開幕スタメンマスクを任せられた。当時は松坂(現メッツ)、西口、帆足(現ソフトバンク)らの先発陣を18歳の炭谷がリード。ルーキーイヤーから54試合に出場し、森をはるかに上回る“実績”を積み上げてきた。前夜は森にスタメンを譲ったが「僕の場合はキャンプから1軍でやらせてもらった。森は途中からだから大変だと思う」と気遣う優しさをみせた。

 プロ入りから大半を1軍で過ごしてきた炭谷に「節目」の日が迫っている。登録抹消されなければ、最短で8月14日に国内FA権を取得する。行使するかどうかは現時点で未定だが、かねて「このチームにずっとお世話になってきた。その気持ちは、これから先も変わらない」と“ライオンズ愛”を強調している。1日でスタメン復帰させた田辺監督代行も「健在だね。お見事」と揺るがない信頼を口にした。

 中継ぎ4人の継投で序盤の4点を守りきった。炭谷が扇のかなめに陣取り、5投手を操り連敗を阻止した。「森を見て新しいことにも気づいた。当時のことですか?

 あんま、覚えてないですよ」と、愛嬌(あいきょう)たっぷりに笑い飛ばして球場を後にした。【為田聡史】