<巨人2-7広島>◇3日◇東京ドーム

 広島がドラフト3位田中広輔内野手(25)の活躍で、引き分けを挟んでの連敗を2で止めた。巨人戦(東京ドーム)の6回に決勝打。偶然にも両親が球場で観戦しており、自身だけでなく父正行さんにとっても東海大相模野球部の先輩にあたる巨人原監督の前で成長した姿を披露。首位巨人とのゲーム差を3・5に戻し、スタメン定着どころか新人王獲得さえ夢ではなくなってきた。

 田中は一塁ベースを回ると、右腰からグーパンチを繰り出すようにガッツポーズした。同点での6回2死一、二塁。左腕青木相手に代打を送られなかった。2ボール2ストライク。外角低めスライダーに右肩が開かず、右前にライナーを弾ませた。「やっと出ました!」。3連戦初戦の1日は同点の延長12回1死満塁、一ゴロ併殺に倒れた。雪辱の舞台で決勝打。父の目の前で重圧に負けるわけにはいかなかった。

 「たまたま両親が球場に来てたんですよ!

 朝に『今日行けそうだ』とメールが来て。良かったです」

 父正行さんは東海大相模野球部の大先輩。中学生の時、試合中の内野守備でダイビングキャッチを試みた結果、両足がつって途中交代した。帰宅すると、父に「痛がるところを見せるな!」と激怒された。小学生のころ、練習や試合が終わってからの洗濯が日課。「泥だらけのユニホームは自分で洗濯板やタワシでこすってからじゃないと、洗濯機に入れてもらえなかったですね」。学習塾に通うようになっても、夜遅くに帰宅してから食器を洗う毎日。「厳しかった」父がいたから、今がある。

 そんな父が尊敬する先輩、それが巨人原監督だ。父は高校1年時、寮で当時3年生だった原監督と同部屋だった。「父がケガをした時、原さんは3年生なのに率先して布団の上げ下げをしてくれるような人だったみたいです」。グラウンドでは必ずあいさつに向かう大先輩にも成長した姿を披露。「ちゃんとやれているところを見せられて良かった」と少し表情を緩めた。

 前日2日は左腕相手に初先発し、後半戦12試合のうち9試合で先発。1年目から左腕相手に打率4割を記録し、スタメン定着も見えてきた。高校、大学の同期・巨人菅野も達成できなかった新人王獲得も夢ではない。「今までは代打を送られるケースが多かったところで、打てて良かった」。頼れるルーキーの存在感が増している。【佐井陽介】

 ▼ルーキー田中が6回に勝ち越し打を放った。田中の勝利打点は4月24日ヤクルト戦に次いで今季2度目。巨人戦で勝利打点を記録した広島の新人は、97年7月29日に投手の沢崎が記録して以来、17年ぶりになる。前半戦終了時の田中は打率2割6分5厘だったが、後半戦は打率3割8分9厘。広島で後半戦の打率3傑(20打数以上)を出すと

 (1)田中

 36-14

 .389

 (2)堂林

 43-15

 .349

 (3)菊池

 55-19

 .345

 後半戦は田中がチームの首位打者だ。