「8・9」への思いをボールに込める。広島のルーキー大瀬良大地投手(23)が次回、9日阪神戦(京セラドーム大阪)に先発する。1945年(昭20)、長崎に原爆が投下された日だ。長崎出身の右腕にとっては人一倍特別なマウンドとなる。当たり前のように投球できる喜び、感謝をマウンドで表現する。
これも運命か。長崎出身の大瀬良がプロ1年目、いきなり8月9日のマウンドに立つ。69年前、長崎に原爆が投下された日。阪神戦のマウンドは、感謝の気持ちを表現する舞台となる。
「自分たちは恵まれている。いろんな人や環境に感謝して生活しないといけない」
小学校低学年のころ、8月9日は夏休みでも学校に集合する日だった。当時の写真を見て、戦争にまつわる話を聞いた。「亡くなった方の写真を見たりして、あらためて戦争は嫌だなと感じていました。戦争はいけない」。
父の転勤で鹿児島暮らしだった中学時は、修学旅行で長崎原爆資料館を訪れた。「原爆が落とされた11時2分で止まっている時計が印象に残っています」。プライベートでも家族で何度も資料館を訪問。「8・9」が持つ意味を理解しているからこそ、特別なマウンドとなる。
前回2日の巨人戦(東京ドーム)は6回5安打3失点で5敗目を喫した。1点リードの6回に2本塁打を許した悔しさは残るが、5回までは2安打無四球で無失点。「自分が目指す、力感のない、リリースの時だけピュッと力を入れるフォームでいけた」と手ごたえをつかんだ。
7月26日の前回阪神戦は全身がつって3回3失点で降板。雪辱を期す一戦だ。6月21日の日本ハム戦で6勝目を挙げて以来、白星から遠ざかる。「今こうやって野球ができることに感謝してプレーしないといけない」。思いをボールに込め、約1カ月半ぶりの勝ち星をつかみ取る。【佐井陽介】



