<阪神7-5広島>◇8日◇京セラドーム大阪

 広島が絶対的エースでまさかの敗戦を喫した。先発前田健太投手(26)は敵地阪神戦で3点リードをもらいながら、味方守備陣のミスも絡み、7回途中7失点(自責点4)で5敗目。チームは9戦連続でカード初戦を落とし、首位巨人に3・5ゲーム差、2位阪神に2ゲーム差と後退した。

 信じられない結末だ。3回表までに3点を奪い、マウンドにはエース前田がいた。なのに、だ。前田は6回0/3をともに今季ワーストの10被安打、7失点で降板した。7失点以上は10年7月30日巨人戦の6回途中8失点以来、4年ぶり。まさかの逆転負けを喫した。

 「してはいけないピッチングだった。リードを守らないといけなかった。(原因は)いろいろある。それは自分の中で考えたい」

 本人は「いや…」と多くを語らなかったが、異変はあった。1点リードの2回、足を伸ばしたり、気にするそぶりが見られた。1死一、三塁から8番鶴岡に2ボールとしたところで、畝投手コーチとトレーナーがマウンドに向かった。野村監督は「確認しに行ったけど大丈夫だと言っていたので」と説明。鶴岡を内角ツーシームで注文通りの遊ゴロ併殺打に仕留めたが、珍しくボールが浮く場面が目立ち始めた。

 3点リードの3回は2四球で2死一、二塁とされ、4番ゴメスに遊撃強襲2点二塁打を献上。5番マートンには同点の中前打を許した。同点で迎えた6回。1死から6番福留に低めのスライダーを右翼席まで運ばれた。7回は先頭から四球、2連打を浴び、味方失策も絡んでさらに2失点したところで降板。「ああいうところで粘らないといけない」と猛省した。

 ヤンキース、レッドソックスなどメジャー5球団のスカウト勢が熱視線を送る中、5年連続2桁勝利は3戦連続でお預け。通算1000奪三振まで残り1個としたが、自身の連勝は4で止まった。チームは9戦連続でカード初戦に勝てず、前田も阪神、巨人、阪神と3戦連続でカード初戦を勝利に導けなかった。「自分の責任です」。首位巨人、2位阪神にゲーム差を広げられた。そんな事実以上に重たい敗戦となった。【佐井陽介】