<ソフトバンク6-4日本ハム>◇10日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンクの8連勝を呼んだのは、金無英投手(28)だ。5回。同点に追いつかれた直後の2死二塁でマウンドへ。日本ハムに主導権を渡さず、松中の劇打への流れをつくった。

 約2年ぶりにお立ち台に上がった金無英は、心の奥で涙を流していた。「正直、ほんとにうれしいです」。12年6月23日以来のプロ2勝目。厳しい状況での登板もチームの危機を救い、価値ある白星を手にした。

 1点を争う展開でようやく1点を勝ち越しても、先発帆足がぴりっとせず同点とされた直後の5回2死二塁でマウンドに上がった。「試合開始前からいつでもいくつもりだった。いつも通り、というのを自分に言い聞かせていった」。小谷野を打ち取り、勢いづく日本ハム打線の流れを断ち切った。その裏に打線が勝ち越しに成功。6回をきっちり無失点に抑えてチームを勝利に導いた。

 5月に2軍に落ちたが、同じ韓国出身の李大浩から「早く1軍に上がってこい」とハッパもかけられ「なんとか成長した姿を見せようと頑張った」。1軍に昇格した7月から李大浩とも食事を重ねた。「2人とも肉が好きですから」とやはり?

 焼き肉で活躍を誓い合った。この日、6回に適時打を放った李大浩が「金の勝利に貢献できたかな」と言えば、金も「打ってくれてうれしい」と白い歯をこぼした。

 プロ初勝利のウイニングボールは韓国・釜山の実家にあるが「2つ目は自分で持っておきます」。その表情には苦しみを乗り越えた喜びが表れていた。【浦田由紀夫】