<ソフトバンク6-5西武>◇18日◇京セラドーム大阪

 ありがとさ~ん!

 ソフトバンクが4点差から西武に逆転勝ちした。チームを蘇生させたのは内川聖一外野手(32)だ。5回に2点適時打で2点差に迫り、先頭の8回は二塁打で出塁。3点を奪う逆転劇をけん引した。66勝のうち逆転勝ち33試合、“逆転率”50%とも12球団トップという「逆転の鷹」が強さをみせた。88年南海以来の大阪主催試合を勝利で飾り、2位と3・5ゲーム差とした。

 勝負師は思いを形にしてこそ認められる。4点を追う5回2死二、三塁。内川の心は1つだった。

 「沈みがちだったので、早い回にどうにかしたかった」

 牧田の外角低めを中前に運ぶ適時打で2点を返した。西武にジワリと重圧をかけ、2点差の8回だ。牧田から3本目となる右中間を破る二塁打で出塁した。

 「タイムリーもそうでしたが、チームを生き返らそうと。追い込まれていたのでどんな形でも前に飛ばそうと思った」

 この一打で突破口を開くと、1死一、二塁で長谷川の二塁打でついに同点。ホームに生還、ベンチに戻っても内川の仕事はある。今宮に決勝の犠牲フライが生まれるまで、前列で声を張り上げて応援した。長谷川が勝ち越しホームを踏むと、両腕を突き上げた。

 9連戦の3カード目。心身とも疲れは出るが、内川のエネルギー源は昔から焼き肉である。かつて8夜連続で食した逸話もあり、オリックス3連戦を含めて4試合を戦った大阪でも、わざわざ神戸までなじみの店に出向いたほど。「本当においしいんですよ」。この4試合で猛打賞3度、17打数10安打4打点とパワーを出した。

 ピリッとしない帆足を3回4失点で下げ、4回から継投に入った。金無英の1失点はあっても中継ぎ陣がゲームを壊さず、今季33度目の「逆転の鷹」が鳴くタイミングを待った。秋山監督は「大きい勝ち方。4点差をひっくり返したからな」と大きく息を吐いた。直前には3試合無安打もあった内川についても「いい状態で来ている」とうなずいた。

 大阪での主催試合は、南海最後の88年大阪球場以来。お盆を過ぎての“里帰り”で、2位オリックスの本拠地を「鷹の祭典」の限定ユニホームの赤で染めた。チームは爽快な景色に勇気づけられた。内川が代弁する。

 「いろんな人がいろんな考えで、鷹の祭典をやっているので、何とか形にしないといけないと思った」

 看板企画は最後に逆転勝ちで6勝2敗、5連勝フィニッシュで締めくくった。試合のなかったオリックスとは3・5ゲーム差をつけた。今日18日からは勝率72・5%の本拠地ヤフオクドームで西武ともう2連戦だ。【押谷謙爾】