<ソフトバンク2-2西武>◇19日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンクが必死の6人継投で12回ドローに持ち込んだ。試合直後。秋山幸二監督(52)は大きく息をつきながら、会見場のイスに腰を下ろした。「リリーフは大変です。よう投げてます。9連戦、登板機会が多いからな」。連日の仕事ぶりに頭が下がる思いだった。先発スタンリッジが7回2失点で降板。同点ながら勝ちパターンの投手を投入した。

 8回はルーキー森だ。1球ごとに気合の声を出し、最後は栗山を空振り三振。9回の五十嵐は2死一、二塁から西武の注目ルーキー森を迎えた。初球は捕手到達まで1秒0台のスーパークイック。追い込んでから最後は2秒足らずと“1人時間差”で空振り三振に仕留めた。延長10回、3連投のサファテは2死一、三塁から中村に絶妙フォーク。これも空振り三振で、守護神たるゆえんを示した。

 今季、五十嵐とサファテがともに投げれば30勝2敗5分け。7月から勝利の方程式に加入した森もトリオでそろえば8勝4分けと、無敗を誇る。12回を締めた森福も厚みを加え、救援防御率は2・10と12球団トップ。鉄壁のブルペンが再び仁王立ちだ。さらに故障離脱中の岡島がこの日2軍で実戦復帰2戦目。2試合で計2回無失点と、1軍復帰が目前に迫っている。

 今日20日まで「福岡クラシック2014」と銘打たれ、初代ダイエー復刻ユニホームを着用する。オールドファン大喜びの「ガッチャマン軍団」。ダイエーは平和台球場時代の89年から4年間、ライオンズブルーの西武に34勝65敗5分け。平和台で15勝31敗3分けと圧倒されたが、そんな苦い過去を思い出させない救援陣の踏ん張りだった。

 夏場で疲労度が濃くなる中でブルペンはフル稼働。秋山監督は「ああ、明日が困った」とやりくりを嘆くものの、守護神が攻略されてサヨナラ負けした2位オリックスとは対照的な夜。差を4ゲームに広げた。劇的勝利とはいかなかったが、価値ある4時間38分となった。【大池和幸】