<阪神8-1中日>◇19日◇京セラドーム大阪

 阪神伊藤隼太外野手(25)の一打が大勝の流れをつくった。初回に2点を先制してなおも二、三塁。福留が凡退して2死となった。立ち上がりに苦しんでいた中日朝倉だが、2点だけで終われば相手は息を吹き返す。どうしてもほしい3点目だった。1ボールからの2球目、カットボールが真ん中付近にきたところを逃さなかった。

 「状況を考えずに自分が立てたプランを遂行しただけです」

 右前適時打で3点目を奪った。梅野も続いて、この回4得点。勝利への流れができた。今季スタメン時の第1打席は13打数7安打で打率5割3分8厘。狙い球を絞った上で第1ストライクを積極的に打つことが好結果につながっているという。

 「自分は対戦データがないので、とくに捕手の考え方というのを大切にしてプランを立てています」

 12年のプロ入りから伊藤隼が打点を挙げた試合でチームは10連勝。3年越しの“不敗神話”を継続中だ。7月末に昇格後、大和の故障離脱でチャンスを得ると打撃でスタメンを勝ち取った。持ち前の打力に「読み」が加わった。優勝争いの佳境で頭角を現してきた3年目のドラフト1位、虎党の期待は自然と高まってくる。

 この日、大和が1軍に戻ってきた。せっかく、つかんだチャンスを逃したくない伊藤隼も鬼気迫る。「変えることはない。自分は自分なので」。若き戦士の必死さが猛虎の推進力になっている。【鈴木忠平】