<日本ハム6-4楽天>◇20日◇旭川

 無失点デビューだ。楽天ドラフト9位の今野龍太投手(19)が日本ハム戦で1軍初登板を果たした。4-6の8回に3番手で登板。先頭ミランダに中前打を打たれたが、後続を断った。チームは敗れ、借金は再び今季最多タイの21。暗い状況が続くが、また1人、将来が楽しみなルーキーが登場した。

 今野にとって、初めて味わう空気だった。1軍昇格4日目で、ついにお呼びがかかる。2点ビハインドの8回だ。スタルヒン球場は、ほとんど日本ハムファンで埋まっていた。明らかに、これまでのマウンドとは違う。「お客さんがたくさん。緊張しました」。素直に明かしたが、打たれるわけにはいかなかった。深呼吸した。

 先頭はミランダ。前の打席で松井裕から二塁打を放っていた。乗っている左の大砲へ、初球144キロ。この日の最速を出した。中前打を浴びたが、次の大引がバントをしてくれた。1死を取ったことで落ち着けた。谷口を右飛、市川を三邪飛と、どちらも直球でフライに詰まらせた。無失点デビューに「スタートが0で抑えられたので、これからも最少失点でいきたいです」と胸をなで下ろした。

 地元の星だ。岩出山の野球部は11人しかいなかった。ギリギリの環境で練習を重ね、昨夏の宮城大会2回戦でノーヒットノーランを達成。中央球界では無名だったが、東北の逸材を求める楽天から9位指名を受けた。育成を除く全指名選手76人中の最下位も、2軍で急成長。最速は146キロから153キロに上がった。酒井チーフ投手コーチは「一番良いのは、しっかりストライクを投げられること」と太鼓判を押す。5月には1軍練習に抜てきされ、星野監督は「いつか、上で使いたい」と話していた。CS進出が非常に厳しくなっている時期に昇格が実現。もちろん、来季への期待が込められている。

 逆転負けの中、明るい話題となった。星野監督は「今野は良かったよ」と自ら切り出した。指揮官から合格をもらった今野は「まだ制球力がないので、しっかりつけて、自分の投球をしていきたいです」と反省を忘れなかった。10代の若者が、上々の第1歩を踏み出した。【古川真弥】