<DeNA3-0広島>◇21日◇横浜

 番長は頼りになります!

 DeNA三浦大輔投手(40)が7回5安打無失点の快投で5勝目を挙げた。8試合連続の2ケタ安打と好調だった広島打線を、ベテランの熟練した投球術で翻弄(ほんろう)。走者を背負いながらも危なげなくマウンドを守った。40代で5連勝を飾ったのは、10年の中日山本昌以来となる史上5人目。球団史上初の快挙を成し遂げた。

 円熟味を増したアラフォー番長さまさまだった。DeNA三浦は自身の5連勝が決まると、ベンチを勢いよく飛び出した。中畑監督から頭をたたかれ、手荒い祝福を受けた。チーム最年長は満面の笑みを見せながら「本当に最高の景色です」。お立ち台の上から横浜スタジアムを見渡し、声を張り上げた。

 暑さにもめげず立ち上がりから飛ばした。2回で既に帽子は汗でびっしょり。それでもコントロールとキレは落ちる気配すらない。7回は四球と安打などで2死一、三塁、この日最大のピンチを迎えたが、ベテランが動じるはずもなかった。代打天谷に対し、初球はフォークで様子を探ると、2球目のスライダーで勝負した。タイミングを外し、左飛に仕留めると、グラブをたたいてベンチに戻った。「ツイているなぁ~、と思う。捉えられても正面に行くし。2ケタ安打はそろそろ止まるだろうと思いながら投げた」。好調の広島打線を手玉に取った三浦の言葉には、風格と余裕が漂った。

 140キロを超える直球も必要ない。それでも打者は差し込まれた。カットボール、シュートは直球と球速が変わらず、球種を絞らせない。女房役の黒羽根は「打者のほとんどがスライダーを待っていた。直球を待っている打者は、なかなかいない気がする。直球にキレもあるし勢いもある。だから140キロ出なくても抑えられる」と先輩右腕の好投に舌を巻いた。

 ここ2試合、先発の久保、山口が5回も持たない嫌な流れだったが、三浦が止めた。チームの連敗も3でストップ。中畑監督は「これが大輔の投球術。ピンチがピンチに感じなかった。若手の手本となる投球だった。井納、(山口)俊は参考にしてほしい。今日の勝利は大輔に尽きる」と絶賛した。8月の月間MVPも視界に捉えた三浦は、「どうでもいいです」と、自分よりもチームを優先。やっぱり、頼りになるのは「ハマの番長」しかいない。【細江純平】

 ▼40歳の三浦が7月13日ヤクルト戦から5連勝。40代投手の最多連勝は08年山本昌(中日)の7連勝で、5連勝以上は5人、6度目。三浦は登板した5試合すべて白星。勝敗なしの試合を挟まない5連勝は08年山本昌(7連勝)に次いで2人目だ。この5試合の三浦は防御率0・50で、連勝中の防御率が0点台は三浦しかいない。連勝中は3失点だが、内訳はソロ本塁打2本の2点と適時安打の1点。適時安打を打たれたのは7月13日ヤクルト戦の初回の雄平が最後で、現在35イニング連続で適時安打を許していない。