<巨人4-1中日>◇23日◇東京ドーム

 届け、亡き父への1発-。巨人高橋由伸外野手(39)が中日戦で2点リードの6回に6号ソロで追加点を挙げて、カード勝ち越しに貢献した。18日に父重衛(じゅうえい)さんが75歳で亡くなり、前日22日に葬儀を終えたばかり。スタメン復帰した試合で、子供のころから野球を教えてくれた父を思い、天を見上げながらグラウンドを1周した。

 高橋由は二塁ベースを回る時、白い天井を見上げた。父重衛さんが亡くなって6日目。生前、何度も目の前で運んだ放物線を、この日、初めて天に届けた。「若干、寂しい気持ちはある。さすがに、すぐに大丈夫、すべて切り替えたと言ったらウソになる。でも毎日試合があるから。供養になったと思う」。涙はない。だが思いは言葉ににじみ出た。

 父が教えてくれた打撃を表現した。6回。外角低めの直球を完璧に捉えて、中堅右へ運んだ。「基礎はそこ(父の教え)にある。その打撃はできたと思う」。小学6年生の時から3メートルの青竹で素振りをした。身長の倍はある“長尺バット”。「下半身を使わないと振れませんから」(重衛さん)。下半身を存分に生かしているからこそ、投手の生命線であるアウトローを打ち砕くことができる。

 21日は通夜で、原監督の「しっかりお別れして来なさい」との配慮で試合の欠場を認められた。それでもチーム関係者には試合終盤に駆けつける意向を見せた。前日22日の告別式にも参列し、試合開始1時間後の午後7時に球場入り。練習もままならなかったが、延長10回に代打でサヨナラ打目前の二塁打を放った。試合後には報道陣に「いろいろありがとうございました」と自ら切り出した。この日も前夜にあいさつできなかった関係者に対し「お花、弔電とありがとうございました」と義理堅く頭を下げた。

 人は悲しみを抱えながらも日々を送らなければいけない。実松も、この日父信芳(のぶよし)さんを亡くした。打撃練習を終え、携帯電話を確認すると訃報のメールが届いていた。明日25日に地元佐賀市での通夜に参列する予定だが、今日24日は先発セドンで先発マスクが濃厚だ。「今日がヤマ場だと聞いていた。最後に話したのは意識があった10日前。『オレは大丈夫だから頑張れ』と言ってくれた。明日、試合に出ることがあれば、しっかり野球を頑張る」と神妙に話した。

 それでもグラウンドに立ち続ける宿命にある。高橋由は「まだまだ元気で頑張りますと伝えたい。1日でも1試合でも長く出て、元気なプレーを見せるのが一番だから」と言った。亡き父へ、野球で感謝の思いを伝える。【広重竜太郎】