<日本ハム8-5西武>◇23日◇札幌ドーム

 連日のおかわりだ。西武中村剛也内野手(31)が前日23日に続く1試合2発。本塁打数はトップのオリックス・ペーニャに1本差に迫る26本となった。序盤の大量失点が響き、チームは3連勝を逃し、自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性も消えた。だが、このままのペースで主砲が打ち続ければ、逆転CS進出の可能性も出てくるはずだ。

 2日続けてのホームランショーにも、中村の表情は当然硬いままだった。10年以来、4年ぶりの2試合連続マルチ本塁打も、チームは敗戦。勝利だけを求めるからこそ「(2戦連続2発は)たまたまじゃないですか」と、言葉少なにチームバスに乗り込んだ。

 悔しさがにじんだが、この日の2本も完璧な放物線だった。3回の25号ソロはカーブを十分に引き付けて左中間席中段へ。5回には、日本ハムの2番手河野の初球スライダーをジャストミート。2打席連発となる26号3ランを左翼スタンド最上段に運んでみせた。

 中村には1つの“指標”がある。交流戦中の6月上旬。「3試合に1本ペースでいけば、(本塁打は)50発近くにいく。自分の中では1カード1本がノルマ。これより少なかったら、打ってないな、と思ってしまう」と明かしていた。通常、打者が目指すのは3打数で1安打だが、ホームランアーチスト中村流は3試合に1本。今季は背中の張りで開幕2軍スタートで、ここまでの出場試合数は82。現在の本塁打数は26本でアーチのペースは約3・15試合に1本。いよいよ状態が上向いてきたことがうかがえる。

 それでも主砲は現在の打撃を「(調子が上がってきたか)まだ分からないです」という。9回の第5打席。1発出れば前夜の24号から4打数連続本塁打のプロ野球記録に並んでいた。しかし、結果は微妙な判定での見逃し三振。前日も同様のシーンがあったが、「(ストライクを)取られたものはしょうがない。打ちにいけばよかっただけ」と、反省していた。この判断の部分が、「まだ」という言葉の理由かもしれない。

 2戦4発でも満足しないが、固め打ちは調子のバロメーター。打ち始めたら止まらない中村が、チームをCS進出への上げ潮に乗せる。【佐竹実】

 ▼中村が25、26号を放ち、前日に続いて2本塁打。中村の2試合連続2本塁打以上は10年9月25日楽天戦、26日日本ハム戦(ともに2本)で記録して以来2度目。22日の第5打席からは左本→四球→左本→左本となり、3打数連続本塁打はプロ入り初めてだ。これでトップのペーニャ(オリックス)とは1本差。5月10日にはペーニャ13本、中村2本と最大の11本差、5月終了時でも10本差あったが、6月以降にペーニャが12本に対し、中村は21本打って1本差に迫ってきた。