<オリックス0-2楽天>◇23日◇京セラドーム大阪

 これぞ、4番の仕事だ。楽天アンドリュー・ジョーンズ外野手(37)が決勝打を放った。4回無死一、二塁で、オリックス西から左中間二塁打を打ち2点を挙げた。これが、両チームあわせ唯一の得点だった。投げては、則本昂大投手(23)が8回3安打無失点で11勝目。チームの連敗は3で止まった。

 最後は左手1本だった。4回無死一、二塁。ジョーンズはオリックス西にカウント2-1と追い込まれた。勝負の4球目。外角に投じられた直球は、いくぶん高かった。見送ればボールだったかも知れない。長いリーチを目いっぱい伸ばし、引っ張り込んだ。打球は勢いよく、2バウンドで左中間フェンスへ到達。2点を奪った立役者は、二塁ベース上で控えめに右手を上げた。「ランナーをかえすという自分の仕事ができてよかったよ」と誇らしそうだった。

 「いつも、チームの勝利に貢献したいと強く思って打席に入っている」

 そう言ってはばからないが、来日2年目の今季は、打率2割1分台に低迷。四球はリーグトップでも、三振も同じくトップ。好機にバットが回る姿に、星野監督もため息をつく。それでも、ジョーンズは「ダイジョウブ。ダイジョウブ」と日本語で言うばかり。さすがに星野監督も「あいつは…」と苦笑い。そんなやりとりが、定番となっていた。名誉挽回、勝負どころでの働きに「いつも、そういう時にやってくれればいい」と、星野監督からもお褒めの言葉が飛び出した。

 成績は不本意でも、メジャー通算434本塁打。代わりの利かない存在だ。打線の軸に、どっかり座る。本人も分かっている。開幕前だった。オープン戦の遠征先で自らレストランを手配。日本人のチームメートを誘った。ただし、誘ったのは控え選手だけ。理由は「キャンプで会えなかったからね」。両向かいのテーブルの真ん中で、実績では大きく離れている若手と、トレーニング理論や打撃理論をかわしたという。チームとして戦う。2年目を前に抱いた決意だった。

 その決意も、残念ながら、結果につながっていない。それでも、姿勢はぶれない。「則本が試合をつくってくれた」とチームメートを持ち上げ、球場を離れた。【古川真弥】