<広島2-1阪神>◇23日◇マツダスタジアム
日本新記録に、猛打で花を添えた。阪神鳥谷敬内野手(33)は今季111試合目も3番遊撃でフル出場。最終回に1点を返す意地の中前適時打を含み、今季5度目の4安打と大暴れだ。自身が持っていた日本記録を更新する399試合連続フル出場と休まない遊撃の金字塔を打ち立てた日。最もほしかった勝利だけが足りなかった…。
勝負の土壇場で鳥谷のすごみが際立っていた。2点を追う9回1死二、三塁。ミコライオとの対決で、カウントは3ボールだ。四球を選び、満塁にする選択肢もある。だが、迷いはなかった。「打ってもいい感じだったので」。4球目は甘い真っすぐだ。強振してライナーで中前に運んだ。1点差に迫る適時打になった。完璧に仕留められなければ打ちにいけない局面でパーフェクトな快打だ。充実ぶりを物語る一打だろう。
笑顔なき勲章だった。12年開幕戦から始まった連続フルイニング出場は、この日で399試合。自身が7年前に打ち立てた、遊撃手としてのプロ野球記録(05年5月11日ロッテ戦~07年9月28日中日戦)を上回った。前人未到の日本記録を自らの手で再び更新するという、球界の常識で図れない鉄人ぶりだ。だが「個人的なことは関係ない。しっかり、明日勝てるよう頑張ります」と話すだけだ。
しなやかな肉体が快挙の背景にある。近年は「遊撃手ボディー」がテーマになっている。屈強な肉体からは想像できないが、意外にもトレーニング機器でガンガン鍛えるメニューは少ないという。筋肥大よりも、筋肉全体を整えるトレーニングを重視。主に用いるのはチューブやダンベル。これには1つの理由がある。
遊撃手として動ける肉体作りが、その根幹にある。土屋トレーナーは「重いモノを持って鍛える時期はとうに過ぎている。遊撃手はいろんな動きをしないといけない。無理な体勢で捕って投げないといけないし、例えば、逆シングルで捕れば脇腹に負担がかかる」と説明する。安定した送球を支える肩や肘、過度に伸ばしても耐えられる脇腹…。機器は大きな筋肉しか強化できない。アクロバティックな動きを求められるポジションだけに、ダンベルなどで、より細かい筋肉を刺激し、質を高めている。
1回には大瀬良の直球をライナーで右越えに二塁打。5、7回にも安打を刻み、4安打だ。今岡を抜く、プロ通算112度目の猛打賞で球団単独5位に浮上した。だが、そんなことは鳥谷の眼中にない。「早い段階で点を取らないといけなかった」。白星をつかむために、一投一打に魂を込める。【酒井俊作】



