<巨人3-7中日>◇24日◇東京ドーム
中日谷繁元信兼任監督(43)が「執念野球」を体現して連敗を5で止めた。2回に追加点となる適時二塁打を左翼線に運んだ。1点差に迫られた7回には粘っこく3連続押し出し四球で加点。妥協なく3個目の四球を選んだのも谷繁兼任監督だった。守っても満身創痍(そうい)ながら、先発雄太らの好投を導くリード。上位との差は大きいが奇跡を信じネバーギブアップで突き進む。
竜は死んでいなかった。どこまでも転がる坂道で、体を張って止めたのは谷繁監督だった。1点リードの2回無死一、三塁。セドンの変化球に体勢を崩されながらも、しぶとく三塁線を破った。「もう走者をかえすことだけ。すかされてバットの先だったけど、強く振ることができていいところに飛んでくれた」。15試合ぶりの適時打となる二塁打で2点目をもぎ取った。食らいついてともしたHランプが、6連敗阻止の象徴となった。
貯金を今季最多タイの2とし、絶好の反撃態勢で迎えた8月戦線のはずだった。主軸和田の骨折離脱や先発陣の不振が響き、前日まで6勝14敗の大失速。しかも今回は2位阪神、首位巨人との上位戦で5連敗し、もはやこれまでかの空気も漂った。だが監督は諦めていなかった。
「1つずつ自分たちができることを考えて、執念を持って戦っていく。もうそれだけ」
巨人にやられっ放しで迎えたレギュラーシーズン最後の東京ドーム。全身でネバーギブアップを体現した。
「今日は取られて相手が流れに行きそうなところで、すぐ取り返せたのは大きかった」。1点差に迫られた直後の7回は、追加点の押し出し四球を選び計2打点。守っても巧みなリードで雄太の持ち味を引き出し、重量打線の逆転を許さなかった。兼任監督の重労働に加え、5月末の交流戦では左太もも裏を痛め、その後背筋も負傷した。負担の多い移動当日試合は4月18日を最後にスタメンを譲ってきたが、この22日に4カ月ぶりに解禁。奇跡を信じ、ここがラストスパートの時期と満身創痍(そうい)の体にムチを入れた。
「選手にも意地があると思う。残り試合は1試合も意地をなくすことなく戦いたい。チームとして欲を出して戦う」。ナインを鼓舞する谷繁節はいつになく熱かった。残り30試合で首位巨人と8・5ゲーム差。3位の背中も遠い。だが、プライドをなくした時点で14年の戦いが終わってしまう。この日のような執念野球で白星をつかみ取っていけば、まだまだ何が起こるか分からない。【松井清員】



