<広島2-8阪神>◇24日◇マツダスタジアム

 雨中の飛球をぼうぜんと見つめた。痛恨の1球だった。1点リードの3回2死二、三塁。阪神岩貞祐太投手(22)の37球目は捕手梅野の構えたミットの逆にいった。2番菊池の打球は左中間を真っ二つ。大学日本代表でお世話になった先輩に洗礼を浴びた。2点二塁打に「先制してもらったのに、追い込んだ後に2点取られたのは反省です」。1球の怖さを痛感した。

 それでも成長の足跡はきっちりと残した。前回17日DeNA戦でプロ初勝利。自信をつけて2週間前に敗れた広島に立ち向かった。掲げたテーマは「テンポ良く投げる」。初回は2三振を含む3者凡退で好スタートを切った。3回に2点を失ったものの、6回を66球で投げきった。逆球はこれまで同様多かったが、テーマに関して合格点だった。

 テンポの良さを生んだ秘訣(ひけつ)は無走者時のセットポジションにある。「他のピッチャーが3球投げている間に自分は4球投げる。みんなで守っていくピッチングをしないと」。横浜商大2年時に大学日本代表に選出。そこからは恩師・佐々木正雄監督の「大きく育てる」指導方針の下、振りかぶっての投球を卒業まで続けた。それをプロの世界に入ってやめた。「制球が良いわけじゃないので」。大学時代とは違い、プロでは挑戦者。制球難でテンポを乱せば悪循環に陥る。野手と一緒に戦うために最善の方法を考えた。2回1死からは二塁上本が一、二塁間の当たりでダイビングキャッチしアウトにしてくれた。後を受けた中継ぎ陣も安打を許さなかった。テンポの良さはチームに勝利の種をまいた。

 「6回2失点は最低限。次は勝った状態で(中継ぎに)渡せるように頑張りたい」

 負ければ3位転落の危機に先発の務めは果たした。2勝目はお預けとなったが、今後に期待を膨らませる66球だった。遅れてきたドラフト1位が、優勝争いの戦力になった。【松本航】