<ソフトバンク2-4日本ハム>◇26日◇ヤフオクドーム

 泥臭く1点を求めた。日本ハム栗山英樹監督(53)が、高校野球さながらにワンプレーに魂を注入した。1回、先頭打者が四球で出塁。続く中島卓也内野手(23)にカウント3ボールから送りバントのサインを送った。中島は「待てのサインが出ていなかったので一発で決めようと思った」。打者有利な状況でも、貪欲に攻めのタクトを振った。犠打が決まり好機は1死一、三塁に広がった。中田の右前適時打は右翼手の2失策を誘い2点を先制した。指揮官は「カウント有利になっても徹底的に送る。オレは決めたことは頑固だからね」。確かな信念が決勝点につながった。

 思いは呼応した。5回は再び中島の犠打から陽岱鋼が犠飛。6回1死一、三塁では近藤健介捕手(21)のスクイズで追加点。近藤は「慌てることなく出来た」。7回無死一塁では再びカウント3ボールから中島が犠打を試み、さらにチャンスメーク。得点にはつながらなかったが、執念は貫いた。堅実な一打を繰り返して試合巧者になった。「翔平なら4点勝負と思っていた」との思惑通りに進む、土台になった。

 覚悟を通い合わせ、白星を演出した。先発大谷翔平投手(20)と、ひそかに思いを共有していた。「オレは言わないけれど、アイツは今日の試合の意味をわかっていると思う」。前回の敵地ソフトバンク戦は3連敗。今季ワースト7連敗につながったが、その3試合目に大谷が登板していた。「翔平が我慢出来るかが全て」。思いを託し、打線の援護を導いた。対ソフトバンクの連敗を5で止め貯金3。指揮官の迷いなき積み重ねで花開かせた。【田中彩友美】

 ▼日本ハムが3連勝で対ソフトバンクの連敗を5で止めた。敵地ヤフオクドームに限れば、4月3日に逆転サヨナラ負けを喫してから7連敗中だったが、ようやくストップ。