<阪神2-4ヤクルト>◇8月31日◇甲子園

 ヤクルト小川泰弘投手(24)は、甲子園で骨折した悪夢を、その右手で振り払ってみせた。左足を高く上げた時にしっかりためを作り、MAX148キロ速球と切れのいいカットをはじめ、多彩な変化球で8回1失点。最大のピンチを迎えた7回も強気で攻めた。ゴメスにソロを許し、なお2死一、三塁。代打関本をカウント3-2から147キロ速球で空振り三振に仕留めた。

 4月18日の阪神戦、この球場で2回2死一塁から鳥谷のライナーを右手に受けて降板した。右手有鉤(ゆうこう)骨鉤骨折。復帰まで3カ月かかり、阪神との対戦もその後初めてとなった。鳥谷は2三振を含め4打席凡退に封じた。「感謝の気持ちで思い切りぶつかった。いろいろ経験させてもらったし、ここに戻って来られたし」。すべてを前向きにとらえて試練を乗り越えた。

 この1週間はストレッチ、マッサージで体のケアを入念に行った。張りで体のバランスを崩してフォームのためも失い、打者のタイミングを微妙にずらす特長が消えていたからだ。「前回からよくなってきた。これを続けていきたい」。復帰後初の連勝で完全復調を印象づけた。【矢後洋一】