<日本ハム1-2ロッテ>◇8月31日◇東京ドーム

 日本ハムがロッテに競り負け、同一カードの連勝が10でストップした。相手先発成瀬に打線が沈黙。6回まで快投していた上沢直之投手(20)が7回にソロ2本を献上し決勝点を許した。8回に中田翔内野手(25)の適時打で1点差としたが、及ばなかった。これで今季ワースト7連敗を喫した8月は12勝11敗2分けと2カ月連続勝ち越しで乗り切り、貯金4。今日1日から勝負の9月に突入し、手綱を締め直して残り27試合にかける。

 手を尽くした終戦を、気持ちを整理して受け入れた。1点を追う最終9回。先頭打者の市川に、代打大谷を投入した。ロッテ守護神・西野を崩しにいったが3者凡退で、好相性のカードで伸ばしてきた10連勝がストップした。栗山監督はサバサバと脱帽してベンチ裏へと姿を消した。8月のラストゲームを終えた。後ろ髪はひかれたが、死闘を誓う9月をすぐに見据えていた。

 栗山監督

 ここからが本当の勝負の9月になる。頭を真っ白にして目いっぱいいくしかない。

 勝ちパターンの輪郭を描けた8月が、くっきり明示された黒星だった。エース成瀬と若手成長株の上沢が序盤から投げ合い。栗山監督の意思表示は6回だった。無死一塁で得点源の1人、打者・陽岱鋼で選択した策。初球に中島が二盗を狙いスタートを切る。ハーフスイングでファウル。指揮官は転換した。「丁寧にいかないといけない」と思い直し、犠打に切り替えた。成功で1死二塁。得点は奪えなかったが、1点勝負の展開。1球単位で策をめまぐるしく変え、相手に重圧をかけ続けた。3番打者でも「誰でも送らないといけないところは送らないといけない」と鉄の意志で1点をもぎ取りにいった。

 一貫した姿勢を通し、使う兵との呼吸も絶妙。8回には中田の適時打で1点を返し、なおも無死一、二塁で、小谷野に犠打を選択。ファウル2球で空振り三振に倒れたが、明快な意図がタクトに出た。要所の精度だけで、勝敗は紙一重だった。栗山監督は「あのイニングで一気に(同点、逆転と)いかなければいけなかった」と悔いなしだった。

 混乱の8月が終了。2日ソフトバンク戦から今季最長の7連敗を喫した。開幕から先発陣の柱の1人だったメンドーサが2軍で再調整と構想も一時、崩れた。この日5打数無安打も、新リードオフマン西川が月間15盗塁したように開き直った采配で個々、チーム全体が好転し始めた。小谷野も「僕が流れを変えてしまった」と素直に反省した。試合巧者という戦闘スタイルが見え、意識改革が浸透してきた表れだ。栗山監督は「ただ、ただ勝ちたかった」と言った。残り27試合。1敗の中から希望の光、8月の苦闘から得た進化の兆しが見えた。【高山通史】