<阪神2-4ヤクルト>◇8月31日◇甲子園

 阪神ドラフト1位岩貞祐太投手(22)は、初の聖地に悔しさを残した。6回途中までで104球を投じ、5安打4失点(自責点3)。敗因は5つの四球だった。

 「力が入ってしまって、カウントが欲しいところで甘く入るし、そうじゃないときはボールになった。悪循環だった」

 テンポの良さを意識する岩貞のボールが荒れた。1回2死三塁では4番畠山に勝負にいった結果、ストライクを1つも取れず四球。対照的に2死満塁では6番飯原に対して、スライダーが高めに浮いた。2点適時打で痛い先制点を献上。カウントを悪くすると、思いきりのいい腕の振りがなくなった。「(ヤクルト)打線がいいイメージがあって、様子見、様子見になってしまった」。4回にも2つの四球が絡み1失点。前回8月24日広島戦で6回を66球で投げきった内容とは雲泥の差だった。

 ずっと憧れてきたマウンドだった。小学校卒業後の春休みに、熊本から友達と初めて甲子園に足を運んだ。地元熊本工の応援だったが、対戦相手の東北(宮城)には、現レンジャーズのダルビッシュがいた。その試合はダルビッシュのノーヒットノーラン。それでも「後からあれがダルビッシュだったんだ…という感じでした」。大記録よりも頭に残ったのは、甲子園のすごみだった。「甲子園で投げられるのはうれしい」。高校時代も熊本大会ベスト4止まり。ようやくたどりついた舞台を、試合前は心待ちにしていた。それが180度変わった。

 「特になにもないです」

 2敗目を喫した後の甲子園の感想は、素っ気なかった。自らで失点の種をまき、捕まった。3回や5回は3者凡退に抑えただけに、自滅がより際立った。今後、何度も投げるであろう本拠地のマウンド。夏休み最終日に忘れられない宿題を課された。【松本航】