<巨人9-4広島>◇2日◇長野

 踏ん張れ、カープ!

 広島は先発野村祐輔投手(25)が5回途中6失点と炎上し、巨人との首位攻防3連戦の初戦(長野)を落とした。2試合ぶりに先発復帰したロサリオがサイクル安打を記録したが、打線は16安打を放ちながら4得点どまり。再び巨人と2ゲーム差となり、3位阪神には0・5ゲーム差まで迫られた。今日3日の直接対決2戦目(前橋)はエース前田が必勝を期して先発する。

 無数のコウモリが夜空を飛び回る。長野の夜は何かが起こりそうな不気味な雰囲気が漂っていた。1番ロサリオが自身初の先頭打者弾を決め、サイクル安打を達成。確かに「何か」は起きたが、負けてしまっては意味がない。

 野村監督

 まあ、祐輔がちょっとね…。甘い球を打たれたということ。

 先発野村が大誤算だった。1点リードをもらった直後の1回裏。1番長野に右前打、2番橋本にも右前打を浴びて無死一、三塁。ここで3番坂本への初球、内寄りシュートを簡単に左中間席まで運ばれた。先頭からわずか5球で逆転3ランまで許した。3連勝中のムードが一気に消え去った。

 野村

 初回がすべて。こういう試合を任せてもらったのに悔しいし、申し訳ないです…。

 確かに逃げることなく、果敢にストライクゾーンを突いた。ただ、微妙な制球力を欠いたことが致命傷となった。再び1点差に迫った2回も2死二塁から1失点するなど、4回2/3を8安打6失点で6敗目。後悔だけが残った。

 3番手今井は自分との戦いに負けた。4点ビハインドから2点差まで迫った6回から登板。1イニング目こそ3者凡退に仕留めたが、7回に先頭から2連打で1失点。なおも2死三塁で5番村田を一ゴロに仕留めながら、一塁岩本からのトスをポロリ。まさかの失策でダメ押し点を献上した。「2点目は自分の弱さ。本当に申し訳ないとしか言えないです」。声を振り絞るしかなかった。

 下位に沈むヤクルトや中日、DeNAとの戦いでは、ミスを挽回するだけの時間を与えてもらえる。王者巨人が相手となれば、そうはいかない。指揮官は「もったいない失点だった」と振り返った。打線は16安打を放ちながら13残塁で4得点に終わった。

 だが光はある。ここ最近、出場4試合で13打数1安打だったロサリオがサイクル安打。今日3日の前橋決戦はエース前田が先発する。残り2戦に2連勝すれば同率首位。「また、明日」。野村監督は、逆襲にかける胸の内をひと言に込めた。【佐井陽介】