<DeNA3-0ヤクルト>◇9日◇横浜

 DeNA久保康友投手(34)らしさ全開だった。27個目のアウトを取るも表情は変わらず、マウンドをならした。阪神時代の10年10月6日横浜戦以来となる完封。プロ入り後、初の無四死球で9回を投げきるも「完了したら終わりで、そこから次の準備をする。シーズンも終わってないし。野球人生が終わったら振り返ります」と冷静だった。

 「ゲーム前、(ヤクルトの)打率を見てびびった」。冷静な久保もリーグトップのチーム打率を残す打線に動揺し、いつも以上に神経を使った。特に山田には、あらゆる手を使い、仕留めた。「ヘッドスピードも速かった。9連戦、明日のためにも、全打席つぶすつもりでいった」。走者がいない場面でも左足を下ろすスピードなど、全球違ったフォームで4打数無安打に抑えた。

 頭脳的な投球をするからこそ、試合後は明確にスイッチを切る。「気を使いながら生活はしたくない。普段は適当」と話す。例えば食事は好きな物を好きなだけ食べる。登板前日の8日の夕食は1人で回転ずし。ランダムに10皿ほど食べて満足した。練習でも同じ。全体メニューであっても自分に必要ないと考えれば行わないこともある。2月の宜野湾キャンプでは「人がいない方が広く使って練習ができる」と言って、午前10時に全体練習開始のところ2時間半前の7時半に室内練習場に行き、メニューをこなした。オンとオフの切り替えが、マウンドでのパフォーマンスにつながっている。

 これで単独ハーラートップの12勝目。中畑監督は「何も言うことがない。ビッグイニングを作ることがあるけど、今日はその隙もなかった」と称賛した。9連戦の初戦を完璧なゲーム運びで、3位阪神とのゲーム差を4・5にした。久保は「全部勝って3位以上のチームにプレッシャーをかけたい」。残りの登板もマイワールド全開でマウンドに立つ。【細江純平】

 ▼久保が10年以来4年ぶり6度目の完封勝利。09年のセ・リーグ移籍後では3度目だが、横浜(現DeNA)以外のチームには初。与四死球は0。完封に限らず、完投は通算17度目だが、無四死球はプロ初。これでハーラーダービー単独トップの12勝目。FA移籍初年度に12勝は、95、00年工藤公康、12年杉内俊哉に並ぶ最多タイで、最多勝を獲得すると初。DeNAの最多勝は93年野村が最後で、12球団で最も遠ざかっている。