<阪神2-8巨人>◇9日◇甲子園

 まぶしいスーパームーンに照らされても猛虎になれなかった。大逆転Vへ、大勝負をかける9連戦のよーいドンでいきなりズッコケた。「甲子園でぶざまな試合はできない!」。和田豊監督(52)が口酸っぱく言ってきたのに、宿敵相手に8失点じゃ悔しすぎる。意地見せろ!

 キバをむけ!

 虎になれ!

 惨めだった。甲子園の夜空には煌々(こうこう)とした満月があった。「スーパームーン」に照らされるには、あまりにも恥ずかしい伝統の一戦。首位を走る宿敵とは対照的に、屈辱感にまみれた9イニングが終わった。観戦した坂井オーナーは渋い表情で足早に去ろうとした。球場の外に出た直後、怒りに満ちた虎党から痛烈な声が飛んだ。

 「お前がおる限り阪神勝てへんわ、坂井!

 金満オーナー」

 意地が見たかった。それなのに、開始3分で先制された。いきなりの四球からバントを決められ、そして初球をたたかれる。4回にはメッセンジャーがまさかのつるべ打ち。支えるナインもマウンドに集まるが、助っ人右腕は下を向くばかりだった。熱い一体感が見えない姿に期待も遠のいた。

 直後、ようやく起きた。上本のチーム初安打をきっかけに、ゴメスとマートンが連続適時打。6回もマートンと狩野の連打で好機をつくるが、そこまでだった。安打をマークしたのは、その2イニングだけ。中秋の美しい月があっても猛虎はどう猛になれなかった。

 和田監督

 エンジンのかかりが遅いな。無抵抗ではなかったけど、もっと早く仕掛けられたら。ここのところ、ビハインドゲームが続いて苦しいね。

 指揮官が「勝負」と宣言した9月なのに、だ。中日に3タテを食らうなど覇気のない戦いが続く。4試合連続で先制されて4連敗。巨人との5・5ゲーム差と懐が寂しくなるばかりの貯金4は、いずれも7月8日以来となった。流れるのはVムードならぬ恒例の失速ムード。2・5ゲーム差に開いた2位広島を追い越すどころか、4位DeNAは巨人よりも近い4・5差まで迫る。Aクラスも危機だ。

 和田監督

 我々は前を向いて行くしかない。甲子園でぶざまなゲームはできないし、意地は見せたいね。

 3年前の10月も、急失速した真弓阪神の戦いぶりに甲子園で坂井オーナーへヤジが飛んだ。続投が既定路線だった真弓監督は急転、この年限りで退いた。愛しているからこその叱咤(しった)激励、総帥に恥をかかせるわけにはいかない。今こそ、巨人の「宿敵」と名乗る意地を見せなきゃいけない。【近間康隆】

 ▼阪神は最悪なら明日11日に自力2位の可能性も消滅する。巨人に連敗し、広島が中日に連勝することが条件。阪神が残り17試合で全勝しても81勝62敗1分け、勝率5割6分6厘。広島は残り19試合で阪神戦に全敗(5敗)しても81勝61敗2分け、勝率5割7分で阪神は広島を上回れない。