<楽天0-6オリックス>◇10日◇コボスタ宮城
思い切り自分の力をぶつけた。楽天のドラフト6位ルーキー横山貴明投手(23)がオリックス戦でプロ初先発。5回5安打3失点で初黒星を喫したが、140キロ台前半の直球を主体に無四球の投球。地元福島県から家族、高校時代の恩師である聖光学院・斎藤智也監督(51)ら135人の応援団もかけつける中、堂々の姿を見せた。チームの連勝は4で止まったが、ルーキー相原、今野も登板。若鷲が踏ん張った。
スタンドからの声援は、集中しすぎて覚えていない。プロ初先発のマウンドに横山は流れる汗をぬぐいながら、全力で腕を振った。「声援を聞く余裕はなかったですけど、心強かったです」。負けたものの5回5安打3失点の内容に、表情には充実感が漂った。
プロ初登板はわずか1球で勝利。マウンドでの時間はあっという間だった。だからこそ、存分に自分の力を見せつけた。主体になったのは140キロ台前半の直球。1回2死二塁、本塁打王争いを繰り広げるペーニャを差し込んだ。初球外角高めへ142キロの直球でファウルを奪うと、4球でカウント2-2まで追い込む。最後は外角高めへ141キロの1球を思い切り投げ込んだ。力勝負の結果は二ゴロ。「三振は取れなかったけど、ファウルはとれた。真っすぐはいけると思った」と手応えは十分だった。
小細工なし、魂の勝負だった。この日の朝、一通のメールが届いた。恩師聖光学院・斎藤監督からだった。「新人らしく、潔く打たれてこい。コントロールミスをしてもいい。果敢に攻めて、魂を込めろ」。高校時代はマウンドで細かいことを気にしすぎて「繊細でナーバス」と言われた。大観衆の前で自分の投球を見せることが、成長の証明になる。直球を投げ、相手に立ち向かわなければならないと、心に火がついた。
魂の1球は心に届いた。観戦に訪れた斎藤監督は「うちでやった魂とアイツが自分で育んだ魂を見せてもらいたかった」。試合後には「勝負を挑んでいたことが何よりもうれしかった」とコメントし、成長した姿に目を細めた。星野監督も「もっと早い回で点を取られるかと思ったけど、結構粘ったな。体力をつけたら面白いかも」と評価した。敗れはしたが真っ向勝負を挑んだ横山が、存在をアピールした。【島根純】



