<阪神1-3巨人>◇10日◇甲子園
名手でも巨人の反撃を止めきれなかった。同点の8回。1死で二塁走者は俊足の代走鈴木だった。坂本への3球目、猛然と単独の三盗を試みる。その瞬間だ。坂本も打って出て地をはうライナーが阪神鳥谷敬内野手(33)を襲う。捕球が難しいショートバウンド。逆シングルでグラブを差し出したが白球は転々と左前に転がっていった…。
目の前を韋駄天(いだてん)が駆け抜け、しかも、身をていする間もないほどの速い弾道だった。まさかの速攻で勝ち越し点を奪われた。「どんな形でも止めなきゃいけなかった。(グラブで)はじいても、前で止めていたら点は入っていない…」。この局面で、視界に入る鈴木には気を取られなかったという。球際の勝負に敗れ、試合の形勢は巨人へと傾いていった。
譲れない1戦はキャプテンの快打から始まった。1回に新打線の1番マートンが出塁。1死二塁で打席へ。菅野の内角直球を強振すると低空ライナーで右中間を破る。初球を積極的に攻め、3試合ぶり安打となる先制適時打を放った。「(菅野は)球種が多い投手なので」。追い込まれれば攻略が難しい。先手を打ち、まずは幸先のいいスタートを切った。
試合終盤、小刻みに点を奪われて、力負けした。今回のカードの対戦前に「1戦1戦を大切に戦っていきたい」と話していた。2点差に広がった9回2死で鈴木の中前に抜けそうな打球を間一髪で捕り、アウトに仕留めた。まだ球際の勝負をあきらめていない。窮地でもファイティングポーズを解かない。【酒井俊作】



