<阪神1-3巨人>◇10日◇甲子園
被弾の後、阪神岩田稔投手(30)はマウンド周辺を歩いた。やり場のない思いがこみ上げていたのだろう。評価されるべき粘投も、一振りで同点に追いつかれた。1点リードの7回、2死走者なし。打席に8番の井端。フルカウントから悲劇の放物線が左中間スタンドに着弾した。虎党の手から離れたジェット風船がむなしく舞った。
「勝てなかったら一緒です」
短い言葉に、悔しさを押し込んだ。だが、責められる内容ではない。5回まで毎回走者を出しても、踏ん張った。5回には無死から連続四球と犠打で1死二、三塁のピンチを背負うも、長野を空振り三振、橋本を二ゴロで無失点。グラブをたたいて喜びを表現した。フォークを有効に使い7回5安打1失点。中西投手コーチも「岩田はよかった。しょうがない。責められない」とかばった。
白星こそ逃したが、岩田らしさが戻ってきた。重心を落とし、がに股気味にセットするフォーム。2戦勝ちなしで見つめ直したフォームだった。さらに練習でも工夫を凝らした。名古屋遠征中だった6日、岩田は“登板”していた。
試合前練習中、走っては投げ、投げては走りを繰り返した。途中でバント練習もはさみ、繰り返したキャッチボールは4回。力を入れて投げ、短い距離を全力で走った。まるで1人で試合をしているかのような練習。山口高志投手コーチ(64)が「先頭を意識してるんちゃうか」と説明したように、試合を想定した練習だった。
「走った後の確認?
そう思ってやっています」
克服しようと試みた立ち上がりでも踏ん張った。1回に先頭長野に二塁打を浴びるも、後続を抑えた。3戦連続で6年ぶりの2桁はお預け。それでも確かな好投に間違いはない。【池本泰尚】
▼阪神は今季の巨人戦対戦成績が11勝12敗となり、1試合を残して勝ち越しがなくなった。07年14勝9敗1分けを最後に7年間勝ち越しがない。



