<西武3-8楽天>◇13日◇西武ドーム

 5位浮上で、最多勝も見えてきた。楽天則本昂大投手(23)が8回6安打3失点で、リーグ2位タイの12勝目を挙げた。自己最多の143球の粘投だった。2回までは精彩を欠いた。フォークは落ちず、本来の球威に届かない。2回はメヒアにソロ、栗山には適時打を浴びた。普通ならばズルズルと打ち込まれてしまう展開。だが、則本は修正した。

 走らなかった直球が、3回から変わった。「左手の使い方を変えた。力をためることができた」と左腕をコンパクトに使うことで、球威が戻った。2回まで147キロだった球速は、4回には152キロを記録。「映像を見れば分かる」と詳しくは話さなかったが、力がスムーズに球に乗った。

 試合中にフォームを修正できる秘密は日課のように行う勉強にある。「嫁に筋肉と神経の本を買ってきてもらって、家に帰って読んでるんです」と読書に励む。筋肉の名称や神経の位置を的確に把握すると、悪い時のフォームが直しやすく出来るという。「ケアの質も上がるし、部位を意識することで使い方が変わる」と説明する。会話での専門用語の豊富さに、投手陣を見る星トレーナーも「マニアのレベル」と舌を巻く。

 チームは9月に入ってから7勝2敗で、6月12日から続いていた最下位を脱した。星野監督は「知るか」と一蹴したが、勢いが出てきたのは確か。最多勝も見えてきた則本は「もっと先を目指さないと」と気を引き締めた。【島根純】