<阪神5-17広島>◇13日◇甲子園

 メッタ打ちでボコボコにされても、虎の主砲マウロ・ゴメス内野手(30)の闘志は衰えない。14点の大量リードを許した8回だ。2死一塁。大瀬良に追い込まれてから4度、ファウルで粘る。9球目。内寄り高めに入ってきた直球を強く振り抜くと、左翼ポール際に吸い込まれていった。

 甲子園のバックスクリーンに並んだスコアだけ見れば、助っ人の24号2ランは焼け石に水に映るだろう。中盤以降は大瀬良を打てなかった。だが、無抵抗で終わらない。一矢報いる一撃は次戦につながるはずだ。「今日は負けてしまったけど毎打席、あきらめない考えでやっている。何とか食らいついていきたい気持ちだった」と語気を強めた。

 来日1年目から球団史に名を刻む活躍ぶりだ。この日で97打点。大台も視界にとらえ、リーグの打点王も現実的だ。24号アーチは阪神の来日1年目助っ人では79年スタントン、95年グレンを抜いて単独5位に浮上した。いずれも130試合制の記録だ。チームはこの日が129試合目。単純にゲーム数を比較しても、価値のある好記録だろう。

 チームが苦境に陥っても日々のベストを尽くしてきた。来日1年目。ゴメスには期する思いがある。開幕前から「日本で長く野球をできたらいいと思っているんだ」と胸中を明かしていた。米国ではレッドソックス時代の12年にメジャー昇格しただけ。しかも、故障欠場していた大砲オルティスの代役に過ぎなかった。関係者は言う。「だから、余計に頑張れるのだと思うよ」。不遇をかこった男のハングリー精神は、まるで違う。異国で揺るぎない名声を博するためにも、最後までただ初志を貫く。

 チームが苦しむ9月も11試合で無安打は2戦だけ。目下、5試合連続安打を継続中だ。熱戦後は右膝をアイシングするなど体は傷ついても、奮い立っている。ゴメスは「(今日は)ホームランだったけどね。とにかく、また明日、頑張るだけさ」と意気込む。スランプ知らずのG砲の強打で、2位広島に迫りたい。【酒井俊作】

 ▼ゴメスが大瀬良から8回2死一塁、2ラン本塁打。同投手からは5月1日に続き2本目で、複数の本塁打を見舞った相手投手は初となった。CSでも対戦する可能性がある大瀬良には打率4割3分8厘と好相性。とりわけ走者を置いた場面では9打数5安打、5割5分6厘に跳ね上がる。