<阪神5-0広島>◇14日◇甲子園

 阪神マット・マートン外野手(32)が打線復活のフィナーレを飾った。にぎわう甲子園で、9試合連続安打中だった男がそれまで無安打。3点リードの8回2死一塁。乗り遅れまいと振り抜いた。広島永川勝が投じた内角高めの145キロだった。大好きな高さに来た球を逃さなかった。高々と左中間に上がった打球にファンが立ち上がる。フェンスぎりぎりながら最も深いところに着弾。8月24日広島戦以来の13号2ランで5点差とし試合を決めた。

 「今日は大きな勝利。まだ終わったわけじゃない。1つでも上の順位を目指して頑張らないと」

 悪夢の6連敗が始まった5日中日戦からもマートンは打ち続けていた。試合前時点でチームは1勝7敗ながら打率は4割をマーク。11日巨人戦では左翼線の当たりを1回転しながらダイビングキャッチするなど、チームを鼓舞し続けてきた。白星に結びついたこの日。試合後の通路では1つの問いかけに対し、喜びからか自分でどんどん言葉を並べていった。

 「下からベイスターズが追ってきているけれど、勢いをつけてシーズンを終えて、CSに入っていきたい」

 打率3割4分で首位打者を独走も、繰り返したのは個人ではなくチームとしての意気込みだった。来日5年目。笑って今季を終わりたい気持ちは人一倍強い。

 ▼マートンが76打点目を挙げ、ゴメス97打点と合わせて阪神外国人野手の合計打点が173となり、76年(ブリーデン92、ラインバック81)と並び球団史上2位となった。1位は10年208打点(ブラゼル117、マートン91)。だが、ブラゼルは08年西武に在籍していた。阪神で日本球界にデビューしたコンビの合計としては最多となった。