<阪神5-0広島>◇14日◇甲子園

 失敗を繰り返さない。大事なことです。ピンチでも踏ん張る。すごく大事なことです。阪神最強助っ投ランディ・メッセンジャー投手(33)が中4日先発で打倒広島に成功。ぴしゃりと7個のゼロを並べ、9日巨人戦で4回途中にKOされた不名誉を5日後にぬぐい去った。12勝、212奪三振の2冠を引っさげ、まだまだ上がっていくんじゃー。

 2度、三塁に走者を置きながら、メッセンジャーは踏ん張った。スコアボードに0を並べ続けた。7回に援護に恵まれると、マウンド上の厳しい表情とは打って変わって、眉毛を下げる優しい表情になった。

 「なかなか点が入らない状況で、福留さんが大仕事をしてくれた。野手のみなさんがいい仕事をしてくれた。福留さんが特にいい仕事をしてくれた」

 お立ち台でもクラブハウスへ引き揚げる道中も、感謝の言葉があふれた。先制ソロの福留をベンチ前で迎えた。タオルを首からさげ、ハイタッチ。代打西岡が右中間を抜く適時三塁打を放つと、ベンチ最前列に立って拳を突き上げた。最大のピンチは好守に助けられた。6回1死一、三塁。田中の飛球を三塁坂がカメラマン席ギリギリまで追って捕球した。「守備でもいいプレーをしてくれた。今日は野手のみなさんのおかげで勝てたと思っているよ」とマウンドから拍手を送った。

 立ち上がりに直球が制球できなかった。「ゲーム中にカーブ、遅い球を使おうと思ったんだ」。緩急を使った投球にシフトチェンジ。5日前の9日巨人戦。同じ甲子園のマウンドで6安打8失点。今季最短の4回途中KOを喫した。上位を走るチーム相手に、同じことは繰り返さない。198センチ大男の、汚名返上。中西投手コーチは「カーブがよかったな。勝ちがついて中4日でいったかいがあった」とうなずいた。

 「個人タイトルを取るにこしたことはないけどチームの日本一、CSに向かっていきたいと思っている」

 8月19日中日戦以来、4試合ぶりの白星を手にした。ハーラートップタイの12勝目。212奪三振はダントツだ。投手2冠の誉れを前に、前日には自力2位の可能性が消滅。それでも助っ人右腕は2位の椅子、そしてCSを勝ち上がる頂点への道だけをにらみ続ける。【宮崎えり子】