<西武9-1楽天>◇15日◇西武ドーム

 前日の反省をしっかりと踏まえた。楽天のドラフト4位ルーキー古川侑利投手(19)が西武戦で、8点ビハインドの8回から3番手で登板。1死から森本に三塁打を浴びたが、後続を抑えて1回1安打無失点と切り抜けた。前日14日のプロ初登板は押し出しの四球を与えるなど制球が乱れたが、ストライク先行の投球。チームは大敗したが、若い力は失敗の経験を生かした。

 違うのはイニングだけだった。前日とは1回遅い8回、古川に声がかかった。西武先頭は4番中村。プロ初登板と全く同じ状況、同じ対戦相手だったことが、心を落ち着かせた。「昨日に比べたら全然落ち着いていました」とマウンド上で一息つくと、力みは消えた。本塁打王争いを繰り広げる強打者に、初対戦では緊張から四球を与えた。だが、この日は経験が生きた。

 テーマはストライク先行だった。前日は投げたい気持ちが先走り、押し出しの四球を与えた。ほろ苦いデビューの記憶。一夜明け、気持ちは切り替わった。ホームラン打者であろうが、真っ向勝負をすると思い切り腕を振った。初球、2球目と直球で続けてファウルを奪う。カウント0-2と追い込んでからの、3球目。落ち着いて、低めへ131キロのフォークを投じた。打球は力なく左手のグラブに収まり、投ゴロに仕留めた。「思い切ってストライク先行でいけてよかった」と胸をなで下ろした。

 だが、プロは甘くない。ホッとしたのもつかの間、続く森本に三塁打を浴びると、秋山に四球。1死一、三塁の危機を招いた。だが、ここでも逃げなかった。鬼崎、炭谷に真っ向勝負を挑んだ。直球で差し込むと、三邪飛、捕邪飛に仕留め何とか踏ん張ることができた。無失点に切り抜けるも「ギリギリでした」と汗をぬぐった。佐藤投手コーチも「今は経験の時期。打たれてもいいけど、こっちは心臓がバクバクだよ」。新人だらけのブルペンを見守る方も気が気ではない。

 星野監督は「まだまだだな。でもしょうがない。1度ゼロで抑えたから、何か変わるかもしれない」と期待を寄せた。経験が未来につながると信じての起用。古川は「またチャンスがもらえるなら、次もストライク先行でいきたい」と語気を強めた。若い力が闘志を燃やしている。【島根純】