<DeNA4-3中日>◇15日◇横浜

 竜が誇る独立リーグ出身の星がまた輝きを増した。中日ドラフト2位又吉克樹投手(23)が60試合登板を、圧倒的な投球で飾った。出番は1点ビハインドの8回2死二塁。キューバの至宝グリエルを144キロ真っすぐで右飛に斬り、ピンチを断った。2球の仕事だったが、中日新人の60試合は99年岩瀬以来15年ぶり。さらに「権藤、権藤、雨、権藤」とうたわれた61年の権藤博を含め、球団史上3人だけのルーキー鉄腕誕生だ。

 又吉

 でも岩瀬さんはずっと続けられていますからね。僕が言うレベルじゃない。岩瀬さんに学んでもっといい投手にならないと。

 今季で途切れるまで、入団から15年連続50試合登板した岩瀬との比較は、恐れ多いと首を振った。だが細身のサイドハンドで何度も窮地を救い、9勝1敗1セーブの成績は、堂々の新人王候補。不振で2軍調整中の浅尾の代役をまっとうする。友利投手コーチが「投げると勝てる雰囲気がある。怪盗ルパン。勝ち星を盗んで逃げていく」とたたえる奮投がなければ、チーム成績はもっと下だったはずだ。

 又吉

 チームの勝ちが一番。チームが勝てるように、もっと1球1球丁寧に、1試合でも多く投げたい。

 谷繁兼任監督

 アイツもしっかりケアしながら、鉄人になってくれれば。岩瀬になれる可能性はあるよ。

 指揮官の信頼も絶大で「岩瀬2世」にご指名だ。広島大瀬良らとの新人王争いに参戦する新鉄腕の存在は、苦境の中の希望の光。144試合まで楽しみがある。【松井清員】

 ◆又吉克樹(またよし・かつき)1990年(平2)11月4日、沖縄県浦添市生まれ。西原3年夏に内野手から投手に本格転向。コーチから山田久志氏の著書を参考書として渡され、サイドスローを完成させた。環太平洋大から13年に四国IL・香川に入団。1年目から最多勝でMVP。180センチ、74キロ。右投げ右打ち。推定年俸840万円。

 ▼又吉の登板数が60試合に到達。中日の新人としては(1)61年権藤博69試合(2)99年岩瀬仁紀65試合に次ぎ3人目。チームは残り11試合で、又吉はどこまで伸ばすか。なお新人登板数のセ・リーグ最多は、11年大原慎司(横浜)の71試合。プロ野球最多は、12年益田直也(ロッテ)の72試合。