<ヤクルト5-3阪神>◇16日◇神宮

 ヤクルト山田哲人内野手(22)が珍記録を打ち立てた。1回に今季6本目となる先頭打者アーチを左中間席中段にかけたが、4月から毎月1本ずつ6カ月連続で打った記録は過去にない。派手なホームランをコツコツ重ねてきた。

 前日(15日)のこと。練習前の一塁側ファウルゾーンにいると小川監督から声をかけられた。「山田、最近ファーストストライクから行けてないんじゃないか。チームのために見ていくのも大事だし、何でもかんでもいくのがいいというわけじゃないけど、今まで思い切りよくやって来て結果が出ているんだから行ってもいいんじゃないか」と。山田はうなずいて聞いていた。

 必ずしもファーストストライクを振ってきたワケではない。ただし感じるものはあった。9月に入って試合前まで54打数11安打の2割4厘と、数字には下降線が表れてた。「振れているし体調も悪くない。でも甘い球を見逃していた。打席で迷っている部分はあったのかな」と。監督の言葉はそこに触れた。

 岩田の投じた初球、ストレート系の甘いボールが真ん中に来た。迷いは消えていた。フルスイングすると左翼席中段まで飛んでいった。「最近打てていなかったので、難しく考えず割り切って初球を狙った。思い切って振り抜けました」と振り返った。

 本塁打は狙っていない。もちろん先頭打者アーチも。ヒットの延長だが、パワーがついてきたため飛距離が伸びた。菊地コンディショニング担当は「オフにしっかりウエートをやって、春先打球が違うことを実感した。シーズンでもコンスタントに続けている成果と思う」と評価した。体重は夏場に6キロ落ちたまま。それでも筋力は保っている。最多安打のタイトルを獲得するためにもラストスパートにかける。【矢後洋一】

 ▼山田が今季6本目の先頭打者本塁打。ヤクルトでシーズン6本は国鉄時代の55年佐藤孝夫に並ぶ日本人最多タイ。球団記録は78年ヒルトンの8本。山田は4月から6カ月連続でマーク。過去にシーズン6本以上は山田で23人目だが、6カ月連続はプロ野球で初めて。