<オリックス10-4ソフトバンク>◇17日◇京セラドーム大阪

 オリックスのエース金子千尋投手(30)が、ソフトバンクの優勝マジック点灯を阻止し、6年ぶりのクライマックス・シリーズ(CS)出場を決めた。2点リードの4回に李大浩に同点2ランを浴びるなど9回途中まで4失点と苦しみながらハーラー単独トップの14勝目を挙げた。まだ首位とは3・5ゲーム差あるが、まだまだ熱パは終わらせない。

 金子は満足していなかった。点差の開いた9回に2点を失い、2戦連続の完投を逃した。「打線がたくさん点を取ってくれて、9回にあんな形になったが、勝てたことで救われました」と、10点で援護した打線に感謝し、チームの勝利を喜んだ。

 だが、エースが乱れたのは2度だけ。3回まで完全投球。4回に李大浩に2ランを浴び、いったん同点とされた。しかし、5回から8回までは再び首位チームを完全に抑え込んだ。「本塁打は打たれちゃダメ。もっと気をつけないといけない」と反省したが、両リーグトップの14勝目で、ソフトバンクのマジック点灯を阻止した。

 もう1つも負けられない直接対決第2戦。前日の試合では、後輩の西が5失点KOされ、交代時にマウンド上で悔し涙をあふれさせた。金子は「それだけ気持ちが入っていたんだろうし、プレッシャーもあったと思う。その中で結果が出なかったので、涙が出てもおかしくない」と胸中を察した。

 だが、頭の中は冷静だった。「チームが負けたことで、なんとしても勝たないと」と燃えたが、考えすぎても逆効果。悔しさを割り切りに変えて力投した。

 3日の敵地ヤフオクドームでの対戦では、6回途中で今季最多の6失点、まさかのKOをくらった。押し出し四球まで与える乱調ぶり。リベンジを誓った日から2週間。巡ってきた再戦で答えを出した。ただ、李大浩に打たれたことは「後への影響がある」と残念がった。

 これで、08年以来、6年ぶりとなるCS進出も決定、ポストシーズンで戦う権利を得た。「出ることを目標にはしていない。(進出が)決まったのはうれしいですが、優勝を目指しているので」と金子。森脇監督も「あくまでリーグ優勝と日本一」と強調した。最後まで、勝ち続けるだけだ。【高垣誠】

 ▼金子が14勝目を挙げ、パの勝利数で2位の西(オリックス)岸(西武)則本(楽天=各12勝)に2勝差。防御率、奪三振と合わせ球団初の投手3冠に近づいた。勝率も岸に次ぐ2位。勝率を加えた4冠は06年斉藤和巳(ソフトバンク)まで11人いるが、過去はすべて20代。30歳の金子が史上初の30代4冠を狙う。

 ▼オリックスの3位以内が確定し、08年以来6年ぶり2度目のCS進出が決まった。パ6球団で最も遠ざかっていた。