<楽天10-12日本ハム>◇21日◇コボスタ宮城

 希望がかすむ1敗だ。楽天は日本ハムと互いに2ケタ得点という壮絶な点の取り合いを演じた。3度のリードを追いつき、8回に1点を勝ち越し。だが、直後の9回、ブライアン・ファルケンボーグ投手(36)が先頭から4連打で3失点と崩れた。連勝は5でストップ。3位日本ハムとのゲーム差は7・5に広がった。逆転CSが遠のいた。

 珍しかった。試合後の会見で、星野仙一監督(67)は「もったいなかった」と2度、繰り返した。弱気を見せるような後悔の言葉を人前で口にした。だが、そう言いたくなる展開だった。

 誤算から始まった。1回、先発辛島は日本ハム先頭西川に中前打を打たれ、二盗も許した。続く中島には投前へバントをさせた。だが、処理にもたついた。犠打失策で無死一、三塁。3番陽岱鋼は三ゴロだったが、銀次の本塁返球は間に合わず、野選で先制点を与えた。さらに3連打を許し、1死も取れぬまま4点を失った。3回にも2点を失い、降板。「立ち上がりからリズムを崩してしまい、野手の方に申し訳ないです」と言うしかなかった。

 そんな誤算を打ち消す強さが、打線にはあった。1回は島内が自身初の先頭打者本塁打。2回には松井稼が同点3ラン。勝ち越された3回には、銀次が同点の2点二塁打を放った。相手先発は大谷だった。今季ここまで、コボスタ宮城では大谷の2勝0敗、防御率0・77に抑えられていた。そんな苦手を相手に、1回から4失点。完全な負けムードを振り払った。

 だが、誤算は続いた。2番手武藤、3番手相原がピリッとしない。四球が絡み、またもリードを許した。これには、星野監督も「ストライクが入らない。どうしようもない。四球がな。ずっと言ってきているのに。直らんよ」と、お手上げだった。

 打線が粘りに粘っただけに、終わってみれば、1つ1つの失点が悔やまれる。四球だけじゃない。スクイズを2つ決められたし、失策もあった。勝っていれば、日本ハムと5・5ゲーム差だった。それが7・5ゲームに広がった。残り13試合。もちろん、CSの可能性がある限り、誰も諦めていない。明日23日からは9連戦。まずは、優勝へ突き進むソフトバンクと戦う。この日に出たほころびをただして、最後の勝負に出るしかない。【古川真弥】