<阪神3-4中日>◇21日◇甲子園

 集中力は極限に達していた。阪神マウロ・ゴメス内野手(30)が4戦連続の打点をマークし、リーグトップの数字を104まで積み重ねた。0-0の5回1死満塁。荒稼ぎにはもってこいの場面で、打席がまわってきた。

 マウンド上には、そこまで無失点の中日伊藤。塁が埋まり、大観衆の声援も重圧をかける。初球から3球連続ボール。ゴメスの腹は決まった。

 「2ボールからも真っすぐが頭にあったけれど、3ボールになって、より狙いにいった」

 舌なめずりしたところに、やってきた内角145キロストレートをおいしくいただいた。痛烈なライナーが左前へ。先制の2点適時打。2日連続のヒーローも内定のはずだった…。

 試合後、ヒゲ面の表情に笑顔はなかった。残りの打席がいただけない。同点の8回2死二塁では左飛。サヨナラの期待がかかった10回も2死二塁で見逃し三振に倒れた。ヒーローが一転、敗戦の一因に。セ・リーグの来日1年目助っ人としてポンセ(大洋)の105打点に次ぐ歴代5位に浮上したが、もっと稼げたはずだった。

 最終的には自身3度目の1試合4三振。球団ワーストの三振数も160と更新し続ける。関川打撃コーチは「三振の多さは気にしていない。そこから考えるのが(ゴメスの)いいところ」と常々言ってきた。良くも悪くも結果につながる不動の4番。次の横浜、DeNA戦でしっかり借りは返す。【松本航】

 ▼ゴメスが今季160個目の三振を喫し、セ・リーグのシーズン記録単独2位となった。セ最多は04年岩村明憲(ヤクルト)173三振。プロ野球記録は93年ブライアント(近鉄)204三振。