もう1度、原点回帰する。巨人菅野智之投手(24)が磨き上げてきた直球でタイトルに挑む。ここまでチームトップの11勝、リーグトップの防御率2・45を誇り、「数字は直接チームの勝ちにつながるところ。タイトルは取れる時に取っておきたい」と視野に入れた。

 22日は川崎市のジャイアンツ球場で投手練習に参加した。ブルペンでの投球練習では43球投げ込んだ。24日の中日第2戦(ナゴヤドーム)に先発予定で、「前回(16日の広島戦)、ストレートの精度がよくないと阿部さんに言われた。もう1度、ストレートにこだわりたい」と話した。昨オフから「直球のスピード、キレ、勢い。全体的なレベルを上げたい」とテーマを定めてきた。

 祖父である故原貢氏(享年79)には新人の春、「かわす投球をするんじゃない」と指導された。5月5日、ナゴヤドームでの中日戦だった。前日4日に祖父は脳の病気で入院。孫は並々ならぬ思いを抱えながら、直球主体の鬼気迫る投球で6勝目を挙げた。試合後はすぐさま神奈川県内の病院に直行した。

 またしても舞台は名古屋だ。祖父から教わった武器で今度は、優勝への大事な1勝を挙げる。「勝てばマジックは必ず減る。でも減らす意識はない。目の前の試合に勝つ、投げるだけ」。勝って個人タイトルもたぐり寄せる。【栗田尚樹】