和田阪神が20歳の右腕でラストスパートをかける。ペナント残り8試合の阪神は、今日23日から敵地でDeNA3連戦に臨む。22日に横浜入りした和田豊監督(52)ら首脳は、松田遼馬投手(20)を「勝利の方程式」へ組み込むプランを持つ。広島とは1・5ゲーム差、逆転2位そしてCSへ剛腕が弾みをつける。

 リョウマでいく。最後の直線、背中の見える広島をまくるのに、もう負けられない。和田維新へ白羽の矢を立てたのは3年目の150キロ右腕だった。松田のイキの良さは、勢いづかせるのにもってこい。中西投手コーチは、奮投してきた「勝利の方程式」の新メンバー加入を予告した。

 中西投手コーチ

 回の途中からならやっぱり経験のある安藤だけど、回の頭からならリョウマもいける。

 期待の3年目は大詰めで間に合った。春季キャンプ中の右肘痛で、19日中日戦で今季初登板。いきなり自己最速タイ152キロをマークするなど、持ち前の投げっぷりの良さとキレのある球を見せた。同点の7回を任された20日の同戦でも2試合連続の3者凡退。中西コーチも「勝ち越してもいかせていた。真っすぐは戻っている」とうなずいた。

 救世主になれる。救援陣は36歳安藤が49試合、37歳の福原が55試合、そして守護神の呉昇桓(オ・スンファン)は57試合に投げてきた。ベテランを酷使せざるを得なかった状況で、ピッチピチのパーツが加わる。「A+F+O=WIN(勝利)」に足される1つの文字。この日、甲子園新室内で汗を流した「R」は控えめだった。

 遼馬

 任されたところでしっかり投げたい。まだ2試合なので。まだまだ、たまたま、だと思っています。ケガしてリハビリをして、また新しい気持ちでと思っています。

 使命は、1・5ゲーム差で追う広島を逆転することだ。前日20日には17残塁と17三振で競り負けた。17日に南球団社長が「残り全部勝て」とゲキを飛ばして始まった連勝も「3」でストップ。この日の指名練習で精力的に指導した指揮官も、乗せなきゃいけない上昇気流へ気合十分だった。

 和田監督

 残り8試合、どの試合も大事だし、今日の一戦をどう取るか。どんな状況でもね。

 消化試合なんてない。2位が持つCSの本拠地開催は、推定6億円もの収入を左右する。営業の問題だけでなく、10月は日本一への険しい道が待っている。契約最終3年目の虎将の去就も、続投を含めた白紙のまま。大事な意味を持つ1試合1試合が、和田阪神の底力の見せどころだ。【近間康隆】

 ▼今日23日に阪神●、巨人○で阪神は今季の優勝の可能性が完全消滅する。24日以降に阪神が全勝し巨人が全敗すると、最終成績は両球団とも77勝66敗1分けで勝率5割3分8厘。阪神は今季巨人戦で11勝13敗と負け越しており、セ・リーグの規定で阪神は巨人の下位となる。

 ▼阪神は現在、自力2位の可能性が消滅しているが、今日23日に阪神○または△で広島が●のとき、阪神の自力2位の可能性が復活する。