<DeNA2-1阪神>◇23日◇横浜

 阪神の9年連続V逸が確定した。DeNA戦は9回1死から抑えの呉昇桓(オ・スンファン)投手(32)が逆転2ランを浴びる痛恨のサヨナラ負け。広島と2・5ゲーム差に広がり、クライマックスシリーズ(CS)主催権のある2位も危機的状況に追い込まれた。既に来季続投が白紙となっている和田豊監督(52)の4年目も厳しい状況。退任となれば、元監督の岡田彰布氏(56)、OB金本知憲氏(46)を軸に後任選定作業を進めていく。

 悪夢だった。9回1死一塁、呉昇桓がブランコに弾丸ライナーで左翼席へサヨナラ2ランを浴びた。表情をこわばらせた和田監督がうめいた。「この時期に勝負事なんで仕方ないじゃ済まされないけど、スンファンにいかせたわけやから。もうスンファンが打たれれば仕方ない」。

 先発岩田が8回無失点と好投。守護神につないだが、最後の最後で暗転。結果的に、4併殺の大拙攻が響いた。ナイターで巨人が大勝し、わずかな可能性で残されていた優勝も完全に消滅した。2位広島とも2・5ゲーム差。残り7試合を全勝しても、広島が6勝3敗ならば届かないという、瀬戸際に追い込まれた。

 和田監督の契約は3年目の今季が最終年。球団は8月下旬、続投が基本線としたが、その方針は9月の失速を受けて既に白紙に戻している。4年目を託すのか、退任か。球団側が判断する上で1つの目安とするのは、本拠地でCSを主催できる2位だ。残り7試合で、広島より上に行かなければ退任の可能性が高まる。現時点で、チームの状況とともに和田監督の続投も崖っぷちの状況となり、球団は並行して後任監督の選定作業を進めていく。

 これまで元監督の岡田氏、03年、05年の優勝メンバーである金本氏、矢野氏、平田現2軍監督らが候補に挙がっていたが、球団関係者によれば、その中でも軸となるのは岡田氏、金本氏だという。

 04年から08年まで監督を務めた岡田氏は05年にリーグ優勝に導いた。鉄壁のリリーフ「JFK」の構築など独自の野球理論で毎年、優勝争いができるチームを作り上げた。また、12年限りで引退した金本氏は他を圧倒する実績と、選手を引っ張っていく人望がある。追い込まれた和田監督、一方で急ピッチで準備が進められる後任人事。1戦1戦が虎の未来を占う展開となってきた。

 ▼阪神は今季優勝の可能性が完全に消滅した。今日24日以降に阪神が全勝し、巨人が全敗すると、両球団とも最終成績77勝66敗1分け、勝率5割3分8厘で並ぶ。阪神は今季の巨人戦で11勝13敗とカード負け越しが決まっており、セ・リーグの規定により巨人が阪神の上位となる。阪神は05年にリーグ優勝して以降、9年連続のV逸。

 ▼2位広島が残り9試合を5勝4敗なら、最終勝率5割3分5厘。残り7試合の阪神が上回るには、6勝1敗では足らず、7戦全勝(勝率5割3分8厘)もしくは6勝1分け(勝率5割3分5厘)が必要。この場合、同率で並び、阪神が広島に勝ち越しているためセ・リーグの規定により阪神が2位となる。