<ロッテ8-4日本ハム>◇23日◇QVCマリン

 日本ハムが、進出濃厚なクライマックスシリーズ(CS)への不安要素を露呈した。短期決戦の先発陣の一角に見込んでいた中村勝投手(22)が、乱調で3回もたずに降板。開幕から無傷の7連勝と進撃してきたが、自身2連敗を喫した。エース格の大谷もシーズン終盤でやや精彩を欠くなど、暗雲漂う台所事情。戦力の見極めを行いながら、残り10試合。手探りの投手編成のまま、ポストシーズンへ突入する可能性も出てきた。

 心には濃いモヤがかかっていた。栗山監督は適切な敗戦の弁を、迷いながら探した。「何か、何か、何かね…」。序盤1、2回で得意の先行逃げ切りのパターンへ持ち込みながら、信頼を置く中村が自滅した。1敗の重み以上に、先をにらむとダメージは大きかった。リーグ優勝は完全消滅。大失速しなければ進出する可能性が極めて高いCSへと目標を切り替えたが、青写真がぼやけてきた。

 上位、下位の球団と大差の3位を死守。このまま公式戦を終了すればソフトバンク、オリックスと対戦することになる。中村は今季はオリックスには2戦無敗も防御率7・20だが、ソフトバンク戦は3戦3勝。好相性のソフトバンクとぶつかるステージで投入が確実視されていた。不安要素は直近2戦で5回もたずに降板。この日は4四球、前回16日西武戦は5四球とともに自滅が停滞の要因だ。

 信頼を厚くしてきた栗山監督も、苦言を呈した。「本人が何と勝負するのか。何と戦うのかを、はっきりさせないといけない」。次なる最大の目標へとシフトしたCSを任せられる確証が欲しかったが、少しの疑念が残った。開幕から破竹の7連勝と躍動してきた中村も危機感を募らせた。「まだまだ未熟だと思った。しっかり調整して(不振の要因を)突き詰めていくしかない」。

 大黒柱の大谷も球宴明けは2勝3敗と、好不調の見極めが不透明。一進一退の状態が続く。目の前の一戦だけではなく、10月11日開幕の第1ステージから第2ステージ突破までを逆算し、戦略と戦力構想を固めていく時期。栗山監督は「(若手投手に)当然、疲れはあるからね」とかばいながらも、ジレンマはある。土壇場まで見極めながら、突貫で今季の大勝負へと向かうことになる。【高山通史】